
WARCグローバル広告予測2025年第2四半期:貿易不安による主要セクターの成長率下方修正
WARC Mediaの最新の調査によると、2025年の世界の広告費は6.2%増加し、11.6兆ドルに達すると予測されているが、これは主要セクターが市場のボラティリティに対応するため、以前の予測からは半減に引き下げられた結果である。特に、貿易摩擦や関税の影響が顕著であり、これが広告支出に対する圧力となっている。
広告費削減を予測する主要セクター
自動車業界や小売業界など、複数の主要セクターは2025年の広告支出を削減する見込みだ。これらの業界は、貿易不安や原材料コストの上昇に直面し、広告戦略を見直す必要に迫られている。
- 自動車業界:自動車業界は、2024年に568億ドルを広告に投資し、そのうち約23%をプレミアム動画フォーマットに費やしたが、製造の停滞とブランド構築の縮小が影響し、2025年の広告支出は4%減少する見込みである。しかし、広告予算は動画からデジタルプラットフォームへシフトし、特にソーシャルメディア広告における支出が2025年にはリニアTVを上回ると予測されている。
- 小売業界:2025年の小売業界の広告費は1,661億ドルと予測され、これは2024年から6.1%の減少を示す。特に米国の貿易関税が影響し、アマゾンやウォルマートなど、中国からの輸入に依存している小売業者にとって、コストが増加することが見込まれている。この影響は、価格競争力を失うリスクを伴い、広告費の削減に繋がると考えられている。
- ハイテク・エレクトロニクス業界:ハイテク業界は、2025年に903億ドルを広告に費やすと予測されており、前年に比べて5.5%の増加となる。しかし、この増加率は2024年の6.2%から下方修正されており、関税の影響で市場戦略が調整され、より影響の少ない地域や異なる製品ラインへの投資が進んでいる。これにより、ハードウェアのマージン減少を緩和しようとしている。
- 消費者向けパッケージ商品(CPG)業界:CPG業界は、パンデミック後の第1四半期に売上高が最も低迷しており、さらに中国からの輸入に対する関税が145%に達し、カナダやメキシコからの商品に対する追加関税も課せられている。このため、確立されたサプライチェーンに大きな混乱が生じ、広告費の伸びに影響を与えている。しかし、ソフトドリンク(7.1%増)、トイレタリー&化粧品(7.2%増)、家庭用製品(4.2%増)といった中核セクターでは、今年も広告費の増加が見込まれているが、2024年からは大幅に減速する可能性がある。
今後の展望
WARCの予測によると、2025年の広告費は引き続き増加するとされるが、特定の業界では貿易不安や関税の影響が重荷となり、広告支出が減少する可能性がある。特に、自動車業界や小売業界では、競争力を維持するための新たな戦略が求められ、広告予算の配分やキャンペーンの方向性に影響を与えるだろう。企業は、今後の不確実な市場環境に対応しながら、効果的な広告戦略を再構築する必要がある。(出典:WARC)