
ライカ100周年 – 伝統と革新が生み出す写真文化の軌跡
ライカカメラ社は2025年に100周年という節目を迎える。1925年3月1日、ライカ初の量産型35mmカメラ「ライカI」がライプツィヒ春季見本市で発表され、写真界に革命をもたらした。この小型で扱いやすいカメラは、写真の可能性を大きく広げ、現代のフォトジャーナリズムやアート写真の基盤を築いた。
写真の新時代を切り開いた「ライカI」
1925年のライプツィヒ春季見本市は、技術革新の発信・交流の場として注目を集めていた。そこで発表された「ライカI」は、24×36mm判のフィルムフォーマットを採用し、これが後に世界標準となった。この決断の背後には、創業者エルンスト・ライツ2世の「ここに決断を下す。リスクは覚悟の上だ」という強い意志があった。彼はオスカー・バルナックが開発した試作機「ウル・ライカ」を改良し、量産化を推進した。
発表当時、「ライカI」には「Anastigmat(アナスチグマート)」と呼ばれる1:3,5/50mmレンズが搭載されており、発売初年度で約1,000台 が販売された。その後も改良が重ねられ、1930年にはスクリューマウント方式を採用し、交換レンズ3本を揃えた「ライカカメラ」が登場。1932年にはレンジファインダーを内蔵した「ライカII」が誕生し、カメラシステムの進化が加速した。
名だたる写真家が愛したライカ
「ライカI」は、コンパクトで目立たず高性能であったことから、アレクサンドル・ロトチェンコ、ジゼル・フロインド、アンドレ・ケルテスといった著名な写真家たちにすぐに認められた。彼らはライカを使い、決定的瞬間を捉える「生きた写真」を生み出した。これにより、ライカは単なるカメラメーカーではなく、フォトジャーナリズムとアート写真の革新者 という地位を確立した。
100周年の祝祭と未来への展望
ライカカメラ社の社主兼監査役会議長アンドレアス・カウフマンは、100周年に際し次のように語る。
「ライカはこの100年間、イノベーション、クラフツマンシップ、エンジニアリング技術を通じて、写真文化の発展に貢献してきました。その精神は、真実の瞬間を捉え、世界を記録することにあります。100周年記念として、世界中で著名な写真家たちを招いたイベントを開催し、その作品を称えます。」
ライカは今後も、革新的な製品開発と未来志向の技術投資に注力し、ブランドの強化と新規顧客の獲得を目指している。その一環として、モバイル分野にも進出し、iPhone向けの新しいカメラアクセサリー「Leica LUXグリップ」を発表した。これに加え、「Leica LUX」アプリを活用することで、スマートフォンでもライカならではの写真体験を楽しめる。ライカ100周年は、過去の伝統を讃えると同時に、写真の未来を形作る重要なマイルストーンとなる。(出典:LEICA, PR Times)