
イケア、グローバル広告で「家庭の温もり」を描くー新キャンペーン「There’s No Feeling Like Home」
家具・インテリア大手のIKEAは、「家に勝る場所はない」という感覚を改めて訴えるグローバルキャンペーンを開始した。手頃な価格の家具ブランドとして知られる同社が、生活空間の機能性だけでなく、家庭がもたらす感情的価値を前面に打ち出す取り組みである。
キャンペーンは広告会社McCannが制作を担当し、「There’s No Feeling Like Home」をテーマとして展開される。その中心となる映像作品が、制作会社Anorak Filmを通じて監督Justyna Obasiが手がけた広告フィルム「Coming Home」である。
作品では、世界各地の人々が仕事や学校など忙しい一日を終え、自宅へと帰る様子が描かれる。レストランで働く人、学校を後にする学生など、それぞれの生活を終えた人々が家路につき、玄関の扉をくぐる瞬間に外の喧騒から家庭の安らぎへと切り替わる場面が印象的に表現されている。
背景音楽には、シンガーソングライターLucy DacusによるCarole Kingの楽曲「Home Again」のカバーが使用され、映像全体に静かな情感を与えている。

「家に帰る瞬間」を世界共通の感情として描く
Ingka Groupでグローバル最高マーケティング責任者を務めるヴィンチェンツォ・リーリは、このキャンペーンについて「玄関をくぐるあの独特の瞬間——温かさや安心感、そして自宅への愛情——を表現したかった」と語っている。日常の何気ない行為である帰宅を、誰もが共感できる普遍的な感情として描くことが狙いである。
キャンペーンはまず韓国、中国、ベルギーで展開が始まり、その後2026年を通じて世界各地に拡大される予定である。広告はオンライン動画、テレビ、有料ソーシャル広告、屋外広告など複数のメディアを組み合わせ、市場ごとに最適な形で実施される。
ユーモア中心の広告から感情表現へ
これまでIKEAの広告は遊び心やユーモアを前面に出すスタイルが多かった。しかし今回のキャンペーンでは、より感情的で映画的なトーンが採用されている。
その背景には、IKEAが発表している調査レポート「Life at Home Report」の結果がある。同レポートによれば、世界の人々のおよそ3分の2が自宅を「喜びを感じる場所」と認識しているという。この結果が、家庭の感情的価値を描く今回のクリエイティブの出発点となった。
マッキャンのグローバルクリエイティブディレクターであるJim NilssonとJacob Bjordalは、帰宅という日常の行為をより象徴的な瞬間として描くことを重視した。スローモーションの映像や浅い被写界深度を用いた撮影によって、視聴者が自身の体験として共感できるような親密な雰囲気を作り出している。
ビョルダルは「帰宅は日常の出来事でありながら、非常に感情的な瞬間でもある」と語り、玄関の扉を開けて大切な人に迎えられる場面こそが、この作品の核心だと説明する。
世界共通のテーマと地域性の両立
一方で、「家」という概念は国や文化によって異なる。そのため制作チームは、グローバルなテーマとローカルな生活感の両立を重視した。
映像の各シーンには明確な地名表示はないが、キャスティングや衣装、インテリア、セットデザインなどを通じて、それぞれの地域らしい雰囲気が感じられるよう工夫されている。つまり、世界各地の生活の断片を組み合わせることで、普遍的な物語を構築する方法が採用されたのである。
リーリは「家とは、食事を共にすること、愛する人を抱きしめること、あるいは静かな時間を過ごすことなど、人生の大切な瞬間が生まれる場所だ」と述べている。今回のキャンペーンは、そうした家庭の感情的価値を世界規模で再確認する試みといえる。 (出典:ADWEEK、画像:Unsplash、IKEA)
















