若者支持率ナンバーワンを狙うGUフランチェスコ・リッソ起用が示すブランド刷新の本気度

ファーストリテイリングは、2026年8月期第1四半期の決算説明会を開催し、その場でジーユー(GU)の新たなクリエイティブ・ディレクターとしてフランチェスコ・リッソの就任について言及した。説明を行ったのは、岡﨑健グループ上席執行役員CFOである。
リッソはイタリア出身のデザイナーで、フィレンツェ、ニューヨーク、ロンドンでファッションを学んだ後、プラダで約10年間にわたりデザイン経験を積んだ。その後、2016年から2025年までマルニのクリエイティブ・ディレクターを務め、ブランドの世界観を再構築してきた人物として知られる。ファーストリテイリングとの接点も深く、2022年にはユニクロとの協業による「UNIQLO and MARNI」コレクションを手掛けており、グループにとっては実績と相性を確認済みの存在である。

業績の踊り場と構造改革の必要性

ジーユーの業績を振り返ると、2025年8月期通期決算では売上収益が前年同期比3.6%増と成長を維持した一方、営業利益は9.3%減と減益に転じた。2026年8月期第1四半期決算では増収増益を確保したものの、期初の想定には届かず、グループが求める水準には達していないという評価が示されている。
こうした状況を受け、ジーユーでは現在、構造改革を本格的に進めている。その柱となるのが、「事業運用精度の向上」と「商品・ブランドの刷新」という二つの軸である。今回のリッソ起用は、後者、すなわち商品力とブランドイメージの再構築を担うための戦略的な一手と位置づけられる。
同社は、ジーユーを国内向けの低価格ブランドにとどめるのではなく、「本当の意味でのグローバルブランド」へと引き上げるためには、世界水準の知見と経験を持つクリエイティブ人材の参画が不可欠だと判断した。マルニでの長年のクリエイション統括経験に加え、ユニクロとの協業を通じてグループ文化を理解しているリッソは、その条件を満たす存在だったといえる。

「自由で低価格」から次のフェーズへ

今後、リッソはジーユーのマーチャンダイジングチームと連携しながら、新たな化学反応を生み出すことが期待されている。岡﨑CFOは説明会の中で、「ジーユーは、自由で低価格、そして若者支持率ナンバーワンのファッションブランドを目指している。今回のリッソ氏の就任は、その目標に向けた重要なマイルストーンになる」と語った。
価格競争力だけでは差別化が難しくなりつつある中、ジーユーが次に問われるのは、「安いが無難」ではなく、「手頃でありながら、感性を刺激するブランド」へと進化できるかどうかである。リッソの起用は、その転換点を明確に示すメッセージとも読み取れる。

ファーストリテイリング全体は過去最高水準

なお、ファーストリテイリング全体の業績は好調だ。2026年8月期第1四半期は、売上収益が前年同期比14.8%増の1兆277億円、営業利益が33.9%増の2109億1400万円と、大幅な増収増益を達成した。国内ユニクロ事業は期初予想を上回る結果となり、海外ユニクロ事業もすべての地域で増収増益を記録している。
これを受け、同社は2026年8月期の通期業績予想を上方修正し、売上収益3兆8000億円、営業利益6500億円を見込むとしている。好調なユニクロ事業に対し、ジーユーは次なる成長ドライバーとなれるか。その鍵を握るのが、フランチェスコ・リッソというクリエイティブ人材の存在である。(出典、画像:FASHIONSNAP)

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