マリオットがEMEAでブランド住宅事業を加速── 高級セグメント中心に契約が急伸

マリオット・インターナショナルは、欧州・中東・アフリカ(EMEA)でブランド付き住宅事業が力強く拡大していると発表した。同地域では18の国と地域で33件がすでに開業し、50件以上の開発案件が進行している。2023年末以降、欧州では23%、中東・アフリカでは59%と、それぞれ二桁の伸びを記録した。住宅市場における「ブランド価値の可視化」が進むなか、マリオットの多様なブランド群が開発事業者に選ばれている状況が鮮明になった。

契約件数は過去最高水準──高級ブランドが牽引

2025年に入り、同社はEMEA地域で約20件のブランド住宅契約を締結しており、その約半数はホテルを併設しない純粋な住宅事業である。契約全体の約3分の2がラグジュアリーセグメントに集中し、高級ブランドが市場拡大の主役となっている。象徴的事例として、ドバイで開発が進む「ザ・レジデンス・アット・ザ・ドバイ・ビーチ・エディション」が挙げられ、同ブランドのEMEA初進出として注目を集めている。
さらに販売動向も堅調で、アブダビのアル・マリア島で展開された「ザ・セントレジス・レジデンス」では一般販売前に6割が成約し、ブランド最高水準の価格を記録した。また、ドバイの「アフィニ(トリビュート・ポートフォリオ)」では、販売開始から1週間で全戸が完売するなど、ブランド認知を背景とした高い販売スピードが特徴的である。

多様な立地で進む開発──湾岸から欧州まで裾野広く

2025年に入って開発や販売が進む主力プロジェクトは、湾岸地域の都市開発地から欧州の歴史都市まで広がっている。たとえば、ハンガリー初のブランド住宅となる「マリオット・レジデンス ブダペスト」、アブダビのプライベートアイランドで開発される「ブルガリ リゾート&マンションズ アブダビ」、トルコで節目となる100軒目のホテルと併設される「ザ・セントレジス・カラヤ・コーブ・リゾート内レジデンス」など、多様な市場で存在感を示している。
今後の開業計画も積極的で、2025年末までにロンドン、カイロ、アルガルヴェ、ドバイなどで6件の新規レジデンスが開業予定である。これにより、同地域におけるブランド住宅ネットワークはさらに拡大する見込みだ。

ロイヤルティとプラットフォーム戦略で長期的価値を構築

居住者向けには、マリオットが提供する「ONVIA」プラットフォームを通じ、マリオット・ボンヴォイ各ブランドとの連携による特典やサービスを提供し、ブランド住宅の付加価値を高めている。ビジネス面では、ブランド認知、販売サポート、運営ノウハウを統合的に活用する“プラットフォーム型事業戦略”を強化し、開発事業者にとっての魅力度をさらに高めつつある。

(出典:hospitalitynet、画像:マリオット)

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