住友ゴム、DUNLOPへのグローバルブランド統一を開始─2026年に海外子会社を一体化し、プレミアム戦略を加速

住友ゴム工業(SRI)は2026年1月から、海外グループ会社が用いてきた多様な事業ブランドを「ダンロップ(DUNLOP)」へ一本化する方針を示した。これは、同社が長期的に描くグローバル戦略において、ダンロップを中心軸に据える施策の一環であり、11月27日の取締役会で正式承認されたものだ。ブランド管理の統制を強め、国・地域を跨いでも同質のブランド体験を提供する体制を整える狙いがある。

グローバル商標権の取得と「R.I.S.E. 2035」戦略

今回のブランド統一は、SRIが2024年に欧州・北米・オセアニアでダンロップの商標権および関連権利を取得したことが前提となっている。同社は以前から、長期ビジョン「R.I.S.E. 2035」の中でダンロップを最重要ブランドとして育成する方針を掲げており、今回の統一はその具体化である。

2026年初頭には、米国、欧州、オーストラリア、中南米、中東、台湾の各子会社が新たな社名としてダンロップを冠することになる。北米では現地法人の住友ゴムノースアメリカ(SRNA)が「ダンロップタイヤノースアメリカ」へと改称する計画で、一部の地域では2月からの切り替えとなる。

ダンロップブランドの強化と技術投資の拡大

SRIは2024年初め、グッドイヤーからダンロップブランドを買収し、これを世界共通の主力ブランドとして再構築する方針を公表していた。新技術の投入、OE(自動車メーカー向け)供給の強化、モータースポーツを通じた認知拡大など、多面的な施策を重ねている。特に、アクティブトレッドテクノロジーや新世代のオールシーズン/オールウェザータイヤなど、開発基盤の強化がブランド戦略を支えている。同技術は世界で100サイズへ展開予定で、主力製品群の競争力を押し上げる。

11月に発表されたSRIの第3四半期決算によれば、プレミアムタイヤの構成比率が改善し、北米では構造改革により収益性が回復している。これを背景に、同社は北米・欧州・オーストラリアでのダンロップ全面展開を進める方針を改めて確認した。欧州では研究開発体制をさらに広げ、地域ごとの市場特性に合わせた開発力を強化する計画も明らかにされた。

ブランド認知の向上

ブランド訴求の取り組みとして、2024年9月に人気レーシングゲーム『グランツーリスモ7』がダンロップを公式タイヤパートナーに選定したことも注目される。ゲーム内でのロゴ表示や特別イベント、ブランドの歴史解説コンテンツなどが組み込まれ、次世代ユーザーへの浸透を狙う施策として機能している。

組織面では、SRNAが2024年6月にアソシエイトバイスプレジデントを2名昇格させ、代替タイヤ販売や長期的なブランド戦略に直結する役割を担わせている。ダンロップを主力とする事業体制へ移行する中で、同社はこれらの役職が北米戦略の遂行に欠かせないと強調している。(出典:住友ゴム工業、tirereview)

関連記事一覧