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21世紀に蘇る「Forward W」― ウィリアムズF1、ロゴ刷新とともにブランド再構築へ

かつてF1界を席巻した名門チーム、ウィリアムズが再び世界の注目を集めている。2025年11月3日、同チームは新たなブランドアイデンティティを発表し、2026年シーズンから伝説のロゴ「フォワードW(Forward W)」を復活させるとともに、チーム名を「アトラシアン・ウィリアムズ・レーシング」から「アトラシアン・ウィリアムズF1チーム」へと改称する。長年の象徴を再び掲げることで、再建と勝利への意志を鮮明に打ち出した形だ。

伝説のロゴが語る、独立と革新の精神

復活する「フォワードW」は、1977年に創設者フランク・ウィリアムズがチーム設立時に採用した初代ロゴである。9度のコンストラクターズ選手権制覇を支えたマシンの多くに刻まれ、チームの黄金時代を象徴してきた。

2000年にBMWとの提携を機に一度その姿を消したが、今回の復活ではモダンな造形と新しいデジタル環境を意識したデザインに刷新されている。これは単なる懐古的な演出ではなく、チームの原点にある「独立・革新・挑戦」という創業精神を再定義するブランディング戦略の一環だ。

チーム代表ジェームズ・ヴァウルズは次のように語る。「新しいロゴとアイデンティティは、我々がどこから来たのか、そしてどこへ向かうのかを示すものだ。黄金期を知らない世代に、ウィリアムズの精神をもう一度伝えたい」

 

経営改革とブランド刷新の両輪で再建を加速

このリブランディングの背景には、近年の経営体制の変化と着実な業績回復がある。長らく低迷期が続き、経営危機すら囁かれたウィリアムズだが、2020年に米投資会社ドリルトン・キャピタルがチームを買収。以降、技術開発のデジタル化、人材戦略の再構築、スポンサー関係の多様化を進め、経営基盤を立て直してきた。

ヴァウルズ代表のリーダーシップのもと、チームは再建のスピードを上げている。2025年シーズンにはコンストラクターズ選手権で5位に浮上。獲得した111ポイントは過去7シーズン分の合計を上回り、アゼルバイジャンGPでは2021年以来の表彰台、アメリカGPではチーム史上初のスプリント表彰台を記録した。経営・技術の両面で明確な成果を上げつつある。

歴史を未来へ継ぐ、ブランドとしての「再生」

ウィリアムズはこれまで、アラン・ジョーンズ、ネルソン・ピケ、ナイジェル・マンセル、アラン・プロスト、デーモン・ヒルといった名チャンピオンを輩出し、コンストラクターズ9回、ドライバーズ7回の世界タイトルを獲得してきた。こうした実績は、単なるスポーツチームを超えた「英国モータースポーツ文化の象徴」としての価値を持つ。

その伝統を受け継ぎながら、現代のブランドとして再構築していく姿勢こそ、今回のリブランディングの核心である。「フォワードW」の復活は、歴史の再演ではなく、価値の再定義である。
過去の栄光を資産としながら、未来志向のブランド体験へと昇華させることで、ウィリアムズは再び“勝てるブランド”としての存在感を取り戻そうとしている。(出典:formula1-data他、画像:Courtesy of Williams)

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