
Netflix広告がAmazon DSPに登場、ストリーミング競争が新局面へ
アマゾンのデマンドサイドプラットフォーム(DSP)を利用する広告主は、今後Netflixの広告枠をプログラマティックに直接購入できるようになる。両社の発表によれば、この統合は2025年第4四半期から米国、英国、フランス、スペイン、メキシコ、カナダ、日本、ブラジル、イタリア、ドイツ、オーストラリアで順次開始される予定だ。
Netflixは広告収益基盤の拡大を目指しており、広告技術の整備や外部パートナーとの連携を強めている。一方、Amazonは小売メディアの枠を超えてストリーミング領域へ進出しており、DSPの存在感を一層高めつつある。
両社の立場と市場背景
Netflixは2022年に広告事業へ参入し、Amazonも昨年からプライム・ビデオに広告を導入した。両社はストリーミング市場で競合しつつも、広告領域では協業関係を築いた形となる。Amazonはすでに成熟した広告技術スタックを有しており、コネクテッドTV(CTV)やリテールメディアと結びつく成長市場において優位性を発揮している。Netflixの広告部門トップであるエイミー・ラインハード氏は、「Amazonとの提携は、広告主に柔軟な購買方法を提供し、Netflix視聴者とより簡単につながる手段となる」と述べている。
広がる提携ネットワーク
NetflixはThe Trade DeskやGoogle Display & Video 360など他DSPとの連携も進め、MagniteやExperian、Acxiomといった企業とも協業している。広告主にとって選択肢を拡大し、広告在庫の透明性や購入のしやすさを向上させる狙いがある。
一方、Amazonはプレミアム配信事業者との提携を強化。2025年6月にはRokuと連携し、約8,000万世帯を対象にしたCTVリーチを提供したほか、Disneyとも協定を結び、同社の広告取引所をAmazon DSPに組み込んだ。また今週、広告管理プラットフォームXRとのAPI統合も発表されており、広告運用の効率化を進めている。
今回の協業は、ストリーミング市場での広告収益化戦略が進化していることを示す。競合関係にありながらも互いの強みを補完することで、広告主にとってより魅力的なプラットフォームを提供することになる。Netflixは広告ビジネスの拡張を加速させ、AmazonはDSPの影響力をさらに拡大し、ストリーミングと広告の融合を推し進める構図だ。(出典:Marketing Dive, Drum他)