
PwC、人員削減最中のブランド刷新が批判の的に
大手会計事務所のPwC(プライスウォーターハウスクーパース)は、数百人規模の人員削減を行った直後に実施したブランド再構築に対し、「不要」「無意味」といった批判を受けている。
PwCは火曜日、10年以上ぶりとなるグローバル・ブランドの刷新を発表した。新しいロゴは従来のレタリングを維持したまま、象徴的だった多色の「蝶」のようなシンボルを、2つのオレンジ色の平行四辺形に簡略化した構成へと変更した。この動きに対しては、「コストカットの最中に実施するには不適切」「意味のないデザイン変更」といった批判が噴出している。社内外の関係者は、経済環境が厳しい中でのリブランディングが不適切であると疑問を呈している。
PwCの旧ロゴと新しいロゴの比較
SNSプラットフォームRedditに投稿されたPwC従業員のコメントによれば、「新ロゴに大金を投じる理由が理解できない」「従業員を削減しながらブランド刷新とは矛盾している」との声が上がっている。これは、世界的な経済低迷やコンサルティング需要の減速を受けて、PwCが大規模なコスト削減策を講じている中での出来事である。2023年9月には米国で1,800人(全従業員の2.5%)のリストラを実施。英国でも同年6月、「サイレント・レイオフ」と呼ばれる人員整理が静かに進められていた。業績不振の影響により、PwCは123人のパートナーとの契約を終了し、技術系人材向けの見習い制度も一時停止している。
広告業界関係者からも辛辣な評価が下されている。イノセント・ドリンクスやレオンのブランディングに携わった広告プロデューサー、ポール・バーク氏は、「このリブランディングは何を伝えようとしているのか不明瞭であり、実質的な変化を伴わないのに費用ばかりがかかっている」と批判している。PwCはリブランドにかかった正確な費用を公表していないが、マーケティング専門家の見立てによれば、代理店への委託費用だけでも数十万ポンドに達し、名刺や看板、建物の外観表示を含めた全面刷新には数百万ポンド規模のコストがかかる可能性がある。
これに対し、PwCの広報担当者は「新しいブランドアイデンティティは、現在の業務内容や組織の進化をより正確に反映しているものである」と説明。また、同社がF1とスポンサー契約を締結し、モータースポーツ業界へのコンサルティングサービスを開始したことも、ブランド刷新の背景にあるという。なお、このブランド再構築は、PwCが2010年に正式に「プライスウォーターハウスクーパース」から「PwC」へと社名を短縮して以来、最大級のリブランドとなる。今回のロゴ刷新は、広告代理店マッキャン(McCann)が主導した。(出典:The Telegraph, MarketingWeek他)