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Amazonの新アイデンティティは、個性と明快さの調和を目指す

Amazonはその創業以来、事業領域の拡大とともにブランド構造が複雑化してきた。50を超えるサブブランドを擁する同社が、いま大規模なビジュアルおよび言語的な再編に乗り出している。ブランドエージェンシーKotoの創設者であるジェームス・グリーンフィールドによれば、このプロジェクトは「多くの顔を持つ企業がいかに統一性と独自性を保つか」を問うものであったという。

多層化したブランドの再統合

サブブランドごとにまるで別企業のように見えることが常態化していたAmazonでは、マスターブランドとの一貫性を担保しながらも、それぞれのブランドに明確な役割と個性を与える必要があった。Kotoは、頻繁に消費者と接点を持つAmazonの特性を踏まえ、「複雑化したエコシステムをナビゲートしやすくすること」を目的にデザイン刷新を進めた。

その中心には1998年にターナー・ダックワースによってデザインされた、Amazonの象徴である“スマイルロゴ”がある。このロゴは、かつての「矢印」からより親しみやすい笑顔をイメージさせるアイコンへと微調整された。

タイポグラフィとカラーの統一

ロゴとともに、Amazonの書体も見直された。新たに導入された「Amazon Logo Sans」は、異なるサブブランドでもすぐに使用可能な統一書体として設計され、ブランドの一貫性を支える。また、以前はバラバラに存在していたオレンジ系統の色調は「スマイル・オレンジ」に統一され、よりデジタル空間での視認性を意識した新たなブルーを採用している。

さらに、Kindle向けに開発されたフォントEmberを進化させた「Ember Modern」は、デジタル体験からマーケティング用途まで、あらゆる文脈で調和するよう設計されている。Kotoはこの書体をタイポグラフィ専門ファウンドリーNaNと連携して開発し、364言語に対応できるようグローバル展開を視野に入れた構成とした。

アイコンとビジュアル言語の再設計

ブランドごとに独自に生成されていたアイコン群も見直され、スマイルロゴとEmber Modernに基づいた新たな一貫性あるスタイルへと再編された。読みやすさ、識別性の向上といった基本原則が重視されている。

また、すべてのサブブランドは「コホート」と呼ばれるカテゴリ群に分類された。たとえばエンターテインメント領域のブランドは、「大胆さ、自己表現、インパクト」を特徴とする視覚スタイルで統一されている。

ハウスブランドと写真戦略の最適化

AmazonベーシックやAmazonキッズ、Amazonビジネスといった独自ブランドも、用途やターゲットに応じた新しいビジュアルトーンが与えられた。コアブランドにおいては、写真表現のアプローチを刷新し、ブランドイメージの鮮明化と共感の醸成を図っている。

特に「Prime」は、「祝祭的で表現的な」トーンで再定義され、ブルーを基調にした新ビジュアルでプレゼンスを高めている。食品分野ではグリーンと実写写真を組み合わせることで、信頼感と親近感を演出している。

今後の展開と意義

この再設計はまだ道半ばであり、今後はAlexaやAmazonヘルスケアなどへの展開も視野に入っている。Kotoは今回のアイデンティティ改革を通じて、Amazonが「実行可能で再利用可能なテンプレートを軸に結束を強化しつつも、それぞれのブランドに明確な声を持たせる」ことに貢献したと述べている。

かつては分断と混在が課題だったAmazonのブランド体系は、今回の再構築により、「明瞭でナビゲートしやすく、かつ個性を失わない」新たなステージへと進化を遂げた。(出典:The Drum、Amazon他)

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