
短期レンタル市場におけるAirbnbの優位性とBooking.comの成長
オンライン旅行会社の大手3社、Airbnb、Booking.com、Expedia/Vrboは、2024年の世界市場シェアの71%を占め、短期レンタル市場で圧倒的な影響力を持つに至った。これは、新型コロナウイルスのパンデミック以前と比較して大幅な成長である。
市場シェアの推移
Skift Researchの推計によると、2024年の世界の短期レンタル市場の総収入は1,830億ドルに達し、これにはキャンプ場やRVパークの収益は含まれていない。2019年時点では、Airbnb、Booking.com、Expedia/Vrboの3社で市場全体の53%を占めていたが、2024年にはその割合が71%に拡大した。
2019年から2024年の成長動向
- Airbnbは、2019年の市場シェア28% から44% に成長し、最も大きな伸びを示した。
- Booking.comは、代替宿泊施設のリスティングを拡充し、2019年の14% から18% にシェアを拡大。
- Expedia/Vrboは、2019年の11% から9% に縮小した。この落ち込みは、技術プラットフォームの再構築や2022~2023年のマーケティング戦略の混乱が影響したとみられる。
- 小規模なオンライン旅行代理店(OTAs)のシェアは、2019年の47% から2024年には29%に減少。これは、Despegar、Awaze、Vacasa、地域の不動産管理会社や個人オーナーを含むロングテール市場の縮小を意味する。
ポストコロナ期(2022~2024年)の市場変化
- Booking.com は、2022年の市場シェア15% から18% へと急成長し、大手3社の中で最も速い伸びを示した。
- Airbnb は、2022年時点での40% のシェアを44% に拡大。
- Vrbo は、2022年の10% から9% に微減した。
- ロングテール市場 は、2022年の35% から2024年には29% へとさらに縮小。
今後の拡大戦略
Airbnb:Airbnbは、一部の主要市場に依存するのではなく、新たな地域での成長を目指し、伝統的なホテル利用者を取り込む戦略を進めている。そのため、一時的な利益を犠牲にしながらも、市場シェアの拡大を優先する姿勢を見せている。
Booking.com:Booking.comは、代替宿泊施設の予約率がパンデミック前の25%から2024年には36%に増加 したと発表しており、特に米国市場への進出に注力している。
Expedia/Vrbo:Expedia/Vrboは、2022年以降の失速を受けて、プラットフォームの再構築を完了 し、供給の拡大とマーケティングの最適化に注力している。また、Expedia.comはVrboだけでなく、バケーションレンタル全体の宿泊販売を強化しており、総合的な旅行プラットフォームとしての成長を目指している。
短期レンタル市場の今後
短期レンタル市場における3大プレイヤーは、それぞれ異なる戦略で成長を続けている。Airbnbは市場拡大、Booking.comは代替宿泊施設の強化、Expedia/Vrboは供給増と最適化を推進しており、今後も市場を牽引していくとみられる。(出典;Skift他)