
レゴ、デジタル事業を強化し成長を加速
レゴは、独自のビデオゲーム開発や、より高年齢層をターゲットとしたコラボレーションを展開することで、デジタル時代における「関連性の維持」を図っている。さらに、デジタルとリアルを融合させたハイブリッドな体験を導入し、市場での競争力を強化しようとしている。
デジタル時代における戦略的な変革
子どもたちの遊び方が急速に変化する中で、レゴは市場の変化に迅速に適応する必要があると認識している。子どもたちがオンラインで過ごす時間が増加する中、レゴの競争相手はハズブロだけでなく、YouTubeのようなデジタルコンテンツプラットフォームともなり得る。
この状況に対応するため、レゴはデジタル体験への投資を強化し、消費者が求める多様な遊び方を提供することを目指している。特に、ゲームの市場規模が拡大する中で、ビデオゲームを新たなメディアとして活用することで、ブランドの価値を高めている。
業績の成長とデジタル投資の拡大
レゴの2024年の売上高は前年比13%増の101億ドル、営業利益は10%増の27億ドルに達した。この成長には、デジタル技術の導入とゲーム市場への積極的な参入が大きく貢献している。
- 2022年以降、ソフトウェアエンジニアの採用数を3倍に増加
- 『フォートナイト』とのコラボレーションにより、8700万人のプレイヤーを獲得
- 「レゴのブランドである限り、デジタルであれ物理的なものであれ、あらゆる年齢層の体験を提供できる」とCEOのニールス・クリスチャンセン氏がフィナンシャル・タイムズに語った
一方で、玩具市場全体の売上は低迷しており、2023年の米国の玩具市場は8%減少、世界市場も1%減少した。マテルの売上は横ばいで推移し、ハズブロの売上は20%近く減少している。
“Kidults”(大人向け市場)の成長と高価格帯製品
レゴのデジタル投資は、ゲームや玩具、エンターテイメントに高額を支払うことをいとわない18歳以上の「Kidults(キダルト)」市場をターゲットにしている。フィナンシャル・タイムズによると、2023年9月までの1年間で、米国の玩具市場におけるKidultsのシェアは18%(約73億ドル)に達し、成長を支える重要な要素となっている。
レゴは、単なるビデオゲームの開発にとどまらず、高額なキットを揃えた18歳以上向けのラインも展開している。ファンダムやノスタルジーを取り入れた商品を開発することで、既存の子ども向け市場に加え、新たな収益源を開拓している。
今後の展望
玩具市場では、従来の大人と子どもという明確な区分が曖昧になりつつある。レゴはデジタル技術を活用し、物理的な玩具と融合させることで、新しいユーザー層を取り込みながら成長を続けている。
フィナンシャル・タイムズ、ガーディアン、WARCの分析によると、今後の玩具市場はよりデジタル化が進み、消費者のニーズに応じた多様な体験を提供することが競争力の鍵となる。レゴは、デジタルとリアルの両方でブランドの価値を高め、持続的な成長を目指している。(出典:フィナンシャル・タイムズ紙、ガーディアン紙、WARC)