多国籍ブランドオーナー、エージェンシー報酬モデルの変更を求める
世界広告主連盟(WFA)とメディアセンスによる最新の調査では、多くの多国籍ブランドがエージェンシー報酬モデルの変革を求めていることが明らかとなった。調査結果によれば、ブランドの75%が現行のモデルを見直したいと考えており、その背景にはビジネス成果との整合性向上や人材へのアクセス改善への期待がある。
報酬モデル変更の背景
「メディア報酬の未来」と題された報告書では、以下のような変化が進んでいることが示されている:
- 複雑性と技術進化:従来の「時間と材料」ベースの報酬モデルは、複雑なクライアントニーズやAIの台頭に対応しきれていない。
- コスト削減よりも価値の向上:変革の目的はコスト削減ではなく、戦略的・技術的な人材に適切な報酬を支払うことにある。ブランドの61%が、今後3年間で戦略的業務に対するエージェンシー料が増加すると予想している。
- AIの影響:AIが導入された業務については、58%のブランドが手数料の削減を見込んでいる。
測定と透明性の課題
ブランドとエージェンシー間で以下の問題が浮き彫りになっている:
- 成果測定の限界:84%の回答者が、適切なデータや測定基準の不足が障壁になっていると指摘。
- 透明性の不足:87%がエージェンシーの収益構造の透明性を高める必要があると考えている一方で、それが実現される見込みは低い。
- 信頼のギャップ:ブランドの75%がエージェンシーの収益構造に懸念を持つ一方で、透明性が確保されていると信じているのはわずか28%。
AIの影響と未来の報酬モデル
AIの利用拡大は、従来の報酬モデルの課題を浮き彫りにしている。同時に、エージェンシーが収益を上げる仕組みを尊重しつつ、クライアントのビジネス成果を重視する新たな価値交換の必要性を示している。
この調査は、世界全体で600億ドルを超える広告費を運用する多国籍企業80社以上を対象に行われた。また、シニアエージェンシーリーダーへのインタビューも含まれている。(出典:WFA)