
IAB、デジタル広告は拡大継続、構造は転換局面へ
IAB(Interactive Advertising Bureau)とPwCによる最新レポートによれば、2025年のデジタル広告収入は前年比13.9%増の2,946億ドルに達し、過去最高を更新した。景気の不透明感や大型イベント不在といった逆風がある中でも、市場は堅調な成長を維持している。
成長を牽引したのは、動画、クリエイターコンテンツ、パフォーマンスメディアの3領域であり、特に人工知能(AI)はコンテンツ発見、制作、収益化の仕組みを大きく変化させている。一方で、従来の主軸であった検索広告は成長が鈍化し、広告市場の構造変化が明確になりつつある。
また、こうした潮流は主要プラットフォームへの集中をさらに進めており、広告主はスケール、ファーストパーティデータ、コマース機能の統合といった要素をより強く求めるようになっている。

ソーシャルとクリエイターが「主役」に浮上
2025年のソーシャルメディア広告市場は前年比32.6%増の1,177億ドルに達し、デジタル広告全体の40%を占める最大チャネルとなった。これはブランドのメディア戦略が大きくシフトしていることを示唆している。
特に注目されるのが、クリエイター主導のマーケティングの急成長である。従来は補助的な役割にとどまっていたクリエイター施策は、現在では広告主にとって「中核的なメディアチャネル」として定着しつつある。2025年には約370億ドル規模に達し、2026年には440億ドルまで拡大する見通しだ。
ブランドの取り組みも変化しており、単発のインフルエンサー施策から、マイクロインフルエンサー、アフィリエイト、成果報酬型クリエイターを組み合わせた常時運用型モデルへと移行している。企業はメディア戦略のみならず、業務フローや製品開発の段階からクリエイターを組み込むようになっている。
検索広告の減速とAI時代の課題
一方、検索広告は依然として年間1,142億ドル規模を維持する巨大市場であるものの、成長率は低下している。AIの普及によりユーザー行動が変化し、「検索されてから応える」モデルから、「需要を先回りして提示する」モデルへの転換が進んでいる。
この変化の中で、Metaはアルゴリズムによるレコメンドや行動データの活用を強化し、Google中心だった検索主導型の構造に揺さぶりをかけている。
また、コマースメディア市場は前年比18%増の634億ドルに達したが、成長率はやや鈍化した。加えて、AI生成コンテンツの増加によりフィードの品質低下が問題視される中、クリエイターの「人間らしさ」への価値が再評価されている。
IABは、現在ウェブトラフィックの半数以上がボットによるものと推定される状況を踏まえ、透明性や測定基準の強化を業界全体に呼びかけている。こうした課題に対応するための取り組みとして、「プロジェクト・アイドス」などの標準化施策も進められている。
動画・ゲーム領域の拡大と再び進む集中化
動画広告(コネクテッドTV、ソーシャル動画、オンライン動画を含む)は前年比25.4%増の780億ドルに達し、成長がさらに加速した。加えて、ゲームおよびeスポーツ分野も、広告フォーマットの進化や需要増加、測定技術の高度化により22%の成長を記録している。
一方で、広告費の配分は再び大手プラットフォームへと集中する傾向が強まっている。2025年には上位10社がデジタル広告収入の84.1%を占め、中小規模プラットフォームへの投資は縮小した。
総じて、デジタル広告市場は拡大を続けながらも、その重心は検索からソーシャル、そしてクリエイターへと移行している。AIの進化とともに、広告の本質は「最適な情報提供」から「文化や共感を生み出す体験」へと変わりつつあるのである。(出典:MARKETING DIVE、画像:iStock)
















