ペプシコ、初のクリエイター主導商品を投入—Z世代との接点を再設計する「フレーバースワップ」

米消費財大手のPepsiCoは、スナック部門で初となるクリエイター主導型の商品ライン「フレーバースワップ」を発表した。本施策は、人気クリエイターと共同で商品を開発し、ソーシャルメディア上の文化的瞬間と購買行動を直結させることを目的とするものである。
今回の取り組みでは、シンガーソングライターのMadison Beer、ストリーマーのiShowSpeed、スポーツコメディグループのDude Perfectと提携。それぞれが同社の既存ブランドを再解釈し、新たなフレーバー組み合わせを共同開発した。商品はまずTikTokのEC機能「TikTok Shop」で販売され、3月には全米展開が予定されている。

ソーシャルファーストが生んだ製品イノベーション

フレーバースワップは、単なる限定コラボではない。ソーシャル起点のキャンペーンが製品開発そのものを方向づけた象徴的事例である。ペプシコ・フーズUSのチーフ・クリエイティブ・オフィサー、クリス・ベリンジャーは、本企画について「象徴的なフレーバーを意外性のあるチップスにリミックスした初の試み」であり、「現代のテイストメイカーと共にブランドを再構築する初の本格的ソーシャルファースト商品ローンチ」であると説明している。
具体的には、Madison Beerが「レイズ スイートサザンヒートバーベキュー味」をチートスに掛け合わせ、iShowSpeedは「ラフルズ チェダー&サワークリーム味」をドリトスに応用。Dude Perfectは「ドリトス クールランチ味」をラフルズに組み合わせるなど、ブランド横断型の大胆な再構成が行われた。いずれも既存の人気フレーバーを再配置することで、新鮮さと話題性を創出している。

Z世代の購買行動に最適化した戦略

今回の戦略は、Z世代の購買行動データを踏まえたものである。同社によれば、Z世代の68%以上がソーシャルプラットフォームから直接商品を購入した経験を持ち、米国消費者の約74%がインフルエンサーの推薦を参考に商品を選択しているという。発見から決済までを同一プラットフォーム内で完結させる設計は、まさにこの行動様式に最適化されたものである。
フレーバー選定にも消費者の支持が反映されている。ドリトスの「クールランチ」は同ブランド内で2番目に人気の味であり、ラフルズの「チェダー&サワークリーム」は最人気フレーバーである。また、レイズの「スイートサザンヒートバーベキュー」は、甘さと辛さを組み合わせた“スウィッキー”と呼ばれるトレンドを取り込んでいる。

価格戦略とソーシャル戦略の両輪

ペプシコは最近、レイズやドリトス、チートスなど主要スナック商品の価格を約15%引き下げる方針も発表した。物価高による消費抑制に対応し、購買意欲を刺激する狙いである。フレーバースワップは、この価格戦略と並行しながら、ブランドの話題性と文化的存在感を高める役割を担う。
同社はマーケティング全体をソーシャルファーストへとシフトさせている。米国飲料部門では、ソーシャル特化型エージェンシーVaynerMediaとの連携を強化し、自社チームとの統合を推進。さらに、ブランド「poppi」はSuper Bowl広告においてもソーシャル起点のアプローチを採用した。
フレーバースワップは、製品開発、コンテンツ、文化、そして決済までを一体化させる試みである。従来のマスメディア型ローンチから、コミュニティと共創する商品投入へ――ペプシコはZ世代との関係構築を軸に、消費財ビジネスの新たなモデルを模索しているのである。(出典:MARKETING DIVE、画像:ペプシコ、iStock)

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