
日立建機、2027年4月に「ランドクロス」へ社名変更
日立建機は、2027年4月より社名を「ランドクロス(Landcros)」へと変更すると発表した。新社名とブランドは世界の機器、部品、正規販売店の表示に順次反映される予定である。一方で、同社は機種名称や機体色として知られる「リライアブル・オレンジ(Reliable Orange)」は維持し、組織構造や製造、製品提供、保証方針、サービス/サポートといった中核業務にも変更はないと明言している。正規販売店との取引継続も確約されている。
経営陣のコメント
日立建機アメリカズの最高執行責任者サイモン・ウィルソンは、現場で目にする「信頼できるオレンジ」は変わらないと述べ、ブランド変更が機械や販売店の運用に大きな影響を与えるものではないとの見解を示している。マーケティングのシニア・ディレクター、ゲイブ・ワイスも、重機産業におけるテクノロジーの重要性が高まる中で「機械を超えたソリューション」を提供していくと説明した。
「Landcros One」:次世代コンセプト
「ランドクロス」ブランドは既に今年、Bauma 2025で「Landcros One」という次世代掘削機のコンセプトで姿を見せていた。Granstudioとの協業により発表されたこの未来的なマシンは、銀色の外観を持ち、電気・水素・ディーゼルの3方式に対応する可変パワートレインといった柔軟性を打ち出している。運転席にはAI支援インターフェースを備え、労働力不足に対応するためのゲーミフィケーション要素を取り入れた操作系も提案された。これらは、単なる機械の提供から「デジタル・エコシステム」を含む総合ソリューションへと変貌を遂げる意図を象徴している。
ブランド名の意義と方向性
新社名「Landcros」は「Land(大地で働く機械)」を軸に掲げつつ、Customer(顧客)やReliable(信頼)、Open(開放)、Solutions(ソリューション)といった価値を組み合わせる意図を持つ名称であるとされる。日立建機はこの名称で、AI・拡張現実・遠隔運転・高度ロボティクスなどの技術を統合した製品開発を進め、顧客の操作性や学習、適応性に応える「インテリジェントな機械」を目指すとしている。
日立建機は1950年にケーブルショベルで機械事業を開始し、1968年に中型油圧ショベルを投入するなど、75年以上にわたる歴史を持つ。会社側は、この長年の蓄積がランドクロスとして未来の現場での働き方を再定義するための出発点になると位置づけている。なお、日立製作所とジョンディアとの掘削機合弁は2022年に解消され、日立建機は北米市場へ再参入し独自のディーラーネットワークを構築している。会社側は合弁解消がブランド再構築の直接的要因ではないと説明している。

移行スケジュールと二重表記の導入
正式な社名変更までの移行期間中、米国およびカナダの22販売会社では「Reliable Solutions – Landcros」といった二重ブランドロゴを使用し、顧客が新ブランドに慣れるための段階的な導入を行う。展示会でも段階的な導入が予定されており、ConExpo-Con/Agg 2026からデュアルブランドロゴの運用を始める計画だ。販売店ごとのブランド切替タイミングは販売ネットワークと協議して決めるとしている。
日立建機は、名称とデカールは変わるが、日々の現場業務や製品の基本仕様、保証やサービス体制を維持することで既存顧客の不安を払拭しつつ、新ブランドでの技術統合とソリューション事業へのシフトを進める狙いである。機械メーカーからソリューションプロバイダーへの転換を標榜する「Landcros」の展開が、現場の運用やディーラーネットワークにもたらす影響は注視される。(出典・画像:日立建機、Equipment World)
















