
クラッカー・バレル、戦略刷新の波紋:ブランドコンサルタントを解任し幹部交替
米国のカジュアル・ダイニングチェーン、クラッカー・バレルは、最近のロゴ変更と店舗デザイン刷新への強い反発を受け、ブランド刷新を助言していたコンサルタント会社のプロフェット社を解任する決断をした。さらに組織構造を見直し、少なくとも4名の幹部を新しいあるいは拡張された職務に任命する再編を発表している。
ブランド刷新への反発と対応
クラッカー・バレルは、夏に「アンクル・ハーシェル(Uncle Herschel)」をロゴから除き、店舗を「ファームハウス・モダン」風に改装する計画を進めたが、消費者から大規模な反発を受けた。結果として、まず4店で試験改装を実施したものの、その後全面的な改装を中止。ロゴ変更案にも批判が強まり、翌年第1四半期には店舗集客が8%程度減少する可能性を見込んでいる。
この流れを受け、同社はロゴ・店舗刷新計画の助言を続けていた戦略的・創造的成長コンサルタント会社プロフェット社との契約を打ち切ると発表した。これは、ロゴ刷新案がブランドの伝統性を損なうと受け取られたことへの対応と見られている。
クラッカー・バレルは、現場運営を支える体制強化を目的に、幹部の役割見直しも行った。CEO兼社長のジュリー・マシーノ氏は、組織階層を削ぎ落とし、「一皿一皿、お客様との接点に心遣いと品質を反映させる」ことに注力する体制を目指すと述べている。これらの変更は、ブランド再建と実務運営の整合性を取り戻すための布石と位置づけられている。
今後への方向性と挑戦
クラッカー・バレルは、すでに一部プロセスの改善を始めており、ホリデーシーズンを見据えて更なる改革を進める意向だという。「ブランドの伝統を根幹に据えつつも、継続的改善を通じて特別な存在であり続けたい」と経営陣は語っている。
しかし、この一連の騒動は、ブランド刷新と消費者期待とのギャップの大きさを浮き彫りにしており、今後の舵取りが企業の信用回復を左右するだろう。特に、改装を中断したり元ロゴに戻したりという対応は、戦略一貫性を問われる場面でもある。(出典:Cracker Barell, Marketing DIve他)