
パンパース、新キャンペーンと刷新したブランド理念でエモーショナル訴求を強化
プロクター&ギャンブル傘下のパンパースは、ブランドの新しい理念と広告キャンペーン「Behind Every Baby」を発表した。9月7日、NFL開幕週末に合わせて公開された60秒のアンセムCMでは、「Stand By Me」の演奏を背景に、赤ちゃんが眠り、遊び、成長して歩き出すまでの瞬間を描き、オムツがその過程で果たす役割を強調している。映像は感情に訴える内容であり、視聴者の心を揺さぶることを目的としている。
このキャンペーンは、P&G専用の特別ユニットPG Oneが統括し、クリエイティブはSaatchi & Saatchi New Yorkが担当。広報活動はMSLが手掛けている。製品訴求に偏りがちな競合ブランドとの差別化を図るため、パンパースは映画的でエモーショナルなストーリーテリングを前面に押し出し、ブランドの60年以上にわたるオムツ革新の歴史を重ね合わせている。
パンパースは、ソーシャルメディアを重視した展開にも注力している。インフルエンサーやクリエイターとの提携を通じて、特にミレニアル世代やZ世代の親世代にリーチする狙いだ。ネットフリックスのリアリティ番組『Love is Blind』に出演し、まもなく第一子を迎えるローレン・スピード・ハミルトンとキャメロン・ハミルトン夫妻も参加し、エンターテイメント性と実用的な育児アドバイスを組み合わせたコンテンツを発信する。
9月9日には「世界最大の出産祝い」と題したイベントを開催。新生児の親が子どもの写真をTikTokに投稿することで、1年分のオムツが当たる懸賞に応募できる仕組みを導入した。当選は100組の家族に提供され、米国で最も出生数が多い日を狙って企画されたものだ。さらに、パンパースはペンシルベニア州ヨークのウェルスパン・ヘルスやオハイオ州シンシナティのクライスト・ホスピタルで新生児向けフォト体験を実施し、キャンペーンのソーシャル拡散を後押ししている。
今回の取り組みは、パンパースが単なる製品広告にとどまらず、「子育ての喜びや葛藤に寄り添うブランド」としての立場を強化するものだ。ストーリーテリングによって感情的なつながりを形成することは、消費財ブランドにとって長期的な顧客関係を築く重要な戦略である。パンパースは製品性能とブランド理念を組み合わせ、エモーショナルマーケティングを本格化させることで、次世代の親世代に向けた存在感を一層高めようとしている。(出典:Pampers, Marketing DIve)