
中国市場で日本の美容ブランドが苦戦 ― ローカルブランドの台頭と構造的課題
日本の化粧品ブランドは長年、中国市場を主要な成長源と位置づけてきた。しかし、経済的逆風や現地ブランドの積極的な進出が重なり、存在感が薄れつつある。
現状と数字が示す動向
大手日本ブランドは、中国での販売不振によって収益が減少している。要因としては、中国におけるバイオテクノロジーの進展、激化するデジタルエコシステム競争、若年層を中心とする嗜好の変化、さらに景気の減速が挙げられる。
- 資生堂は1981年から中国市場に参入しているが、海南島の免税市場で利益が30%減少した。
- ポーラやコーセーといった日本の大手も、日本国内での売上減少を報告している。
- 一方、中国のハイテク系パーソナルケアブランド「ジンボー・バイオテック」は、上半期の利益が前年同期比42%増、売上は8億5900万元に達した。
- 若い世代を中心に「自国製品を選ぶ」傾向が強まっていると経営者は証言している。
- 動画プラットフォームDouyinでは競争が激化し、トップ20ブランド入りにはGMVで1億元規模が必要となっている。
ローカルブランドの優位性
中国の新興ブランドは、デジタルネイティブの強みを活かし、低価格での展開、市場投入のスピード、文化的共感を巧みに組み合わせている。これは、国内メーカーが国際ブランドを凌駕した中国スマートフォン市場と同様のパターンを反映している。経済全体の停滞も背景にあり、パンデミック前の成長基調を維持するのは難しい状況である。
日本ブランドへの示唆と課題
韓国の化粧品ブランドが米国市場で成功した事例は参考になるが、日本ブランドには「新しい物語」が必要との指摘もある。WARCの分析では、従来の「ステータスやストーリーテリングに依存したブランディング」は中国の消費者層に響かなくなっており、多国籍ブランドが成果を出すには「現地化した研究開発」「ユーザー中心の設計」「即時的な実証」が不可欠だとされている。特に、従来から洗練された広告キャンペーンに依存してきた老舗ブランドは、戦略の再構築が避けられない可能性がある。(出典:The Japan News、Jingzhi Chronicle、WARC)