AMG、新型EVでブラッド・ピットを起用ーEVのブランド訴求を強化

メルセデスAMGは、新型「AMG GT 4ドアクーペ」のアンバサダーとして俳優のブラッド・ピットを起用した。2026年に市場投入予定の同モデルは、AMGがEV向けに開発した新プラットフォーム「AMG.EA」を採用する最初の量産車となる。ピットの起用は、電動化戦略の本格始動に合わせ、ブランドイメージの強化を狙うものとみられる。

ラスベガスでプロトタイプを初披露

AMGは今回の提携発表に合わせ、米ラスベガスでプロトタイプ車を用いたPRイベントを実施した。現地では、迷彩柄の試作車が走行する様子を公開し、F1ドライバーがステアリングを握る形で初期性能をアピールした。

イベントの中心は、ピットの登場と新型EVの走行シーンを組み合わせた短い演出映像で、AMGは「新世代モデルの持つ精密性と動的性能を伝える狙い」と説明している。

電動化に向けた技術メッセージを強化

量産モデルは3基の軸方向磁束モーターと直接冷却式バッテリーを搭載する予定で、連続出力と応答性の高さを訴求する。これらの技術は、2024年に公開されたコンセプトモデル「AMG GT XX」で予告されたもので、AMGは同モデルの開発実績を「今回の量産EVにも直結する成果」と位置付けている。

EV市場では性能競争が加速しているが、AMGはモーター・バッテリーともに独自開発を明確にし、「電動高性能」を今後の主要な成長領域に据える方針を示した。

AMGの経営陣は、ピットを起用した理由について「パフォーマンスやクラフトマンシップへの姿勢がブランドと共通する」と説明する。従来の内燃機関モデルで確立してきた“高性能ブランド”のイメージを、EV時代にも維持・再構築する狙いとみられる。

ピット自身も「常にパフォーマンスを重視してきた」とコメントしており、AMGは著名人の影響力を活用することで、新しい技術とモデルへの関心を広く喚起したい考えだ。

高性能EV市場で存在感確立へ

高級車ブランド各社がEVラインアップの拡大を進めるなか、AMGは2026年以降のフルEVシフトに向けてモデル・技術・コミュニケーションを段階的に刷新している。
今回の発表は、AMGが“電動化後もパフォーマンスブランドとしての独自性を維持できるか”という市場の視線に対し、その方向性を明確化するものとなった。(出典・画像:Mercedes-AMG、Driven Car Guide)

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