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アディダス、ローカライゼーション戦略を推進― グローバルブランドの現地最適化への取り組み

アディダスの最高経営責任者(CEO)であるビョルン・グルデンは、製品開発、製造、マーケティングの各領域において「ローカライゼーション(現地最適化)」を強く支持している。同氏は、それがビジネス上理にかなったアプローチであると明言し、特に今日の複雑なサプライチェーン環境下においては不可欠な戦略であると強調する。

グルデンは、決算説明会において「オーストラリア、インド、ノルウェーといった各市場は、それぞれ大きく異なる。そうした多様性を本社の会議室で理解することは不可能であり、誤った意思決定につながりかねない」と述べている。

ローカライゼーションの実践的意義

アディダスのローカライゼーション戦略は、単なるマーケティング手法ではない。それは、正しい製品を、適切なタイミングで、最適な市場に提供することに他ならない。ガルデンは「消費者のニーズに合わない商品を一律に押し付けることは、ブランド価値の毀損や利益率の低下につながる」と述べ、商品設計から市場導入までを地域ごとに最適化する重要性を訴えている。

また、同氏は「単一の300億ユーロ規模のグローバルサプライチェーン」よりも、「それぞれ100億ユーロ規模の3つの地域別サプライチェーン」の方が、柔軟性と収益性の両面で優れているとの見解を示した。特に、地政学的リスクや関税の影響が大きくなっている現在、アディダスが米国市場において中国依存を軽減できていることは、その戦略の有効性を裏付けている。

グローバル×ローカルのハイブリッド戦略

グルデンは「世界はますますローカルに収束しており、消費者との距離を縮めるためのエネルギーが必要だ」と述べる。アディダスではグローバル規模のキャンペーンを展開しつつも、必ずローカル文化に根差したメッセージを組み込むというアプローチを取っている。これにより、地域ごとの消費者心理や価値観に即した訴求が可能となる。

この手法は、現地チームの創造性を刺激し、地域社会との関係を深める上でも効果的である。アディダスが世界中で支持されているのは、その象徴的なグローバル製品に加え、特定市場で独自に開発されたスタイルやモデルが成功を収めているためでもある。

たとえば、トレーニング市場においては「すべてのアスリートがトレーニングを必要とする」一方で、そのトレーニングニーズは国や地域によって異なる。グルデンは「トレーニング市場はグローバルであるとは限らず、現地での適応が求められる」との考えを示している。

ローカルでの成功がグローバルの鍵

「我々は、ローカルの視点を持つグローバルブランドであるべきだ」とグルデンは繰り返す。「世界はローカルな成功によって形成されており、アディダスの活動は常に地元の消費者やアスリートを起点に展開されるべきである」との認識が、同社の戦略全体に貫かれている。このようなローカライゼーション戦略は、単なる市場対応を超え、ブランド価値の深化と収益性の向上を同時に実現する道筋となっている

 

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