
P&G、関税による最大15億ドルのコスト増に直面
Procter & Gamble(P&G)は、関税の影響により今後1年間で10億~15億ドルの追加コストを負担する可能性があると見込んでいる。しかし、同社はこの影響を受けても、既存の戦略をより一層強化していく方針を明らかにした。
関税影響の詳細
アンドレ・シュルテン最高経営責任者(CEO)は決算説明会において、関税コストについて「重要な懸念事項ではない」と述べた。関税の影響は、特定のSKU(製品単位)、特定ブランド、特定カテゴリー、さらには特定国の組み合わせに集中しているという。
米国における最大の影響は、中国から調達している原材料や包装資材、さらに一部の完成品に及んでいる。また、米国からカナダへ輸出する完成品にも大きな影響が出ている。
これらの追加コストに対し、P&Gは短期的には生産性向上、イノベーション強化、価格設定調整によって対応する方針である。長期的には、製品処方や調達先の変更といった対応策も視野に入れている。
マーケティング戦略の継続
P&Gは引き続きイノベーション推進に注力し、それを強力なメディア広告で支える方針である。新商品の認知拡大において、トレード・プロモーションは引き続き重要な役割を果たすが、シュルテン氏は「大幅なディスカウントに頼らず、広告とプロモーションの組み合わせで新製品の認知を高める実績を重ねてきた」と語った。したがって、メディア広告とプロモーション施策のバランスに大きな変更は加えない見通しである。
消費者動向とP&Gの市場シェア
消費者マインドの変化にも対応している。シュルテン氏は、欧米市場において消費水準が低下している背景には、雇用・経済の不透明感、物価上昇、政治的分断といった要因があると分析した。
「現在見られる消費者行動は、合理的な反応だ」とし、来店頻度の減少や、オンライン、大型小売店、クラブストアへの購買チャネルのシフトが進んでいることを指摘した。
にもかかわらず、P&Gは主要市場におけるブランドシェアを維持しており、プライベートブランドのシェアは減少傾向にあると述べた。「消費者が当社ブランドを選び続けていることが、現在のようなボラティリティの高い環境を乗り切る唯一の道だと確信している」とシュルテン氏は強調した。(出典:Seeking Alpha、WARC、画像:P&G)