YouTube、ビジュアルアイデンティティを刷新ー統合型エンターテインメントブランドへの進化

YouTubeは、変化の激しいエンターテインメント環境に対応するため、ビジュアルアイデンティティを刷新した。今回の変更は、YouTube TVやShortsを含む複数のサービス間で一貫性を高め、同社を単なる動画共有プラットフォームではなく、幅広いエンターテインメントを提供する総合ブランドとして再定義する狙いを持つ。
刷新の一環として、新たなイラストレーションスタイルと、ロゴデザインに着想を得た表示用書体「YouTube Display」が導入された。また、YouTubeとしては初となるモーションアイデンティティも採用され、動画コンテンツ特有の躍動感や即時性を、ブランド表現そのものに組み込んでいる。これらの制作は社内クリエイティブチームが主導し、書体開発をシャープタイプ、イラストフレームワークをジェスチャーシステムズが支援した。

初のモーションアイデンティティがもたらす統一感

今回のリブランディングの中心にあるのは、従来の静的なビジュアル表現からの脱却である。YouTubeはこれまで、TV、Music、Premium、Kidsなど多様なサブブランドを展開してきたが、デザインやトーン・オブ・ボイスにばらつきが生じていたと自ら分析している。
新たなブランドシステムでは、「生き生きとした感覚」を共通コンセプトとし、モーションアイデンティティを通じて各サービスを視覚的に結びつける。デモ映像では、YouTubeの動画クリップが画面上で揺れたり跳ねたりする動きを見せ、手持ちカメラの揺れや編集リズムといった、クリエイター動画に特有の雰囲気を再現している。一方で、赤・黒・白を基調とした配色や、「いいね」「コメント」「チャンネル登録」といったユーザーインターフェース上の基本要素は維持されており、既存ユーザーの体験を大きく変えない配慮もなされている。
この刷新は、YouTube創立20周年の節目に合わせて世界的に展開されており、屋外広告を含む各種プロモーションでも新デザインが採用されている。

変化する視聴環境と競争の激化

YouTubeは今回の発表を通じて、自社を本格的なエンターテインメント拠点として位置付ける姿勢を明確にしている。その背景には、生成AIの進展や、動画コンテンツとeコマースを直接結びつける機能の拡張など、ソーシャルメディア全体を取り巻く環境の急速な変化がある。
また、リビングルームの大画面でYouTubeを視聴するユーザーが増加する中、同社はコネクテッドTVやストリーミング分野への投資を強化しており、Netflixなど従来型の映画・テレビプラットフォームとの競争も激しさを増している。加えて、TikTokに類似した短編動画サービス「Shorts」への注力により、広告主と視聴者の双方からの支持を拡大している。
こうした成長は収益面にも表れており、グーグルの発表によれば、YouTube由来の広告収入は9月30日終了の第3四半期において、前年同期比15%増の102億6,000万ドルに達した。今回のブランド刷新は、こうした事業拡大と視聴体験の多様化を背景に、YouTubeが次の成長段階へ進むための基盤整備と位置づけられる

。(出典:YouTube, MARKETING DIVE、画像:YouTube)

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