• ニュース
  • HOME
  • ニュース
  • PrettyLittleThingの退屈なリブランディングが招いた混乱

PrettyLittleThingの退屈なリブランディングが招いた混乱

今週、ファッション業界で話題となったのは、ファストファッション企業PrettyLittleThing(PLT)の予期せぬリブランディングである。2012年の設立以来、同社はバブルガムピンクのブランドカラーや、ユニコーンをモチーフにしたデザイン、手頃な価格の衣料品で知られてきた。しかし、PLTの特徴は、ワンクリックで最新のコレクションを手に入れることができる手軽さと、世界中のインフルエンサーからの絶大な支持であった。

そんな中、PLTは突然公式Instagramの投稿をすべて削除し、”あらゆるITガールのためのルック” を作るという「現在進行形のレガシー」を掲げて再登場した。このリブランディングにより、ロゴは一新され、ブランドのカラーはワインレッドやブラウンを基調とするシックなトーンに変更。さらに、最初のコレクションは「静かな贅沢」や「オールドマネー」といったトレンドの影響を強く受けたものとなっている。

新しいウェブサイトを見れば、確かに洗練されたスタイルが提案されていることは明らかだが、従来のPLTのブランドイメージとは大きく異なる。この大胆な変更により、新たなターゲット層を開拓しようとしているのは明らかだが、長年のファン層は「どこに向かえばいいのか分からない」 状態に陥っている。この変化に対し、多くのユーザーが不満を表明している。

リブランディングの問題点

持続可能性と倫理に関する懸念

PLTは持続可能性と倫理の観点で厳しい批判を受けてきた。Good Shopping Guideの倫理的評価レポートでは、英国のアパレルブランドの中で最低ランクとされている。2020年の「Labour Behind the Label」の調査によると、PLTの親会社であるBoohoo Groupの英国工場では、縫製労働者の時給がわずか3.50ポンドだったことが発覚した。この問題を受け、同グループは弁護士のアリソン・レヴィットKCにサプライチェーンの見直しを依頼し、その結果、問題の指摘は「実質的に真実」であると認定された。さらに、PLTは「1Pセール」の開催や、大量の商品を低価格で販売し続けてきた。しかし、リブランディング後も持続可能性への取り組みについて正式な声明は出されていない。

品質とフィット感の問題

ブランドの創設者であるウマル・カマニは、業界誌Drapersのインタビューで、

「以前は、できる限り安い価格で商品を市場に投入することを優先していた。しかし、現在は品質を向上させ、厚手で透けにくい、しっかりとしたフィット感のあるドレスを提供することに注力している」

と述べた。しかし、新コレクションを実際に購入したコンテンツ・クリエイターのLouellaは、約400ポンドを費やして手に入れたアイテムの品質やフィット感に失望したと語っている。さらに、Indy100がPLTの新コレクションを調査したところ、多くのアイテムがポリエステル90%以上の合成素材で作られていることが判明。期待された品質向上とはかけ離れた実態が明らかとなった。

リターンポリシーの変更

PLTのリブランディングを歓迎する声がある一方で、返品ポリシーの改定には不満の声が上がっている。従来の返品期限は28日間であったが、新たなポリシーでは14日間に短縮された。この変更により、購入者が返品を決断するまでの時間が大幅に制限されることになった。

デザインの類似性 – 小規模ブランドとの衝突

PLTの新しいデザインは、よりミニマルで洗練された雰囲気に変化したが、これにより他ブランドとの類似性が指摘される事態となった。

特に、ロンドン発のブランドOddMuseの創設者であるAimee Smaleは、PLTの新しいコレクションが自身のブランドと類似していると主張している。彼女はTikTokで「PLTのリブランディングは冗談みたい」と発言し、2つのブランドのデザインの顕著な共通点を指摘した。この疑惑に対し、PLTは正式なコメントを発表していない。

プラスサイズ商品の価格設定の問題

PLTの新コレクションを購入した顧客の間では、サイズによる価格の差に関する指摘も相次いでいる。具体的には、プラスサイズ(UKサイズ14以上)のアイテムは、UKサイズ4-12のアイテムより最大10%高い価格で販売されていた。この問題がTikTokで拡散されると、Indy100が調査を行い、指摘されたアイテムの価格がその後変更されたことを確認した。

かつてPLTは「10ポンドのドレスを翌日配送するブランド」として知られていたが、新たな価格設定ではドレスの平均価格が50~60ポンド、ブレザーが約45ポンドとなっている。リブランドによりブランドの方向性が変わったことは明らかだが、価格の大幅な上昇 に対する顧客の不満は依然として強い。

PrettyLittleThingの今後の課題

PLTは、ファッション業界での新たなポジションを確立するため、リブランディングを実施した。しかし、持続可能性や倫理の問題、品質や価格の変化、小規模ブランドとの類似性など、さまざまな課題に直面している。この変革が、忠実な顧客層を維持しながら新たなターゲット層を獲得する成功戦略となるのか、それともファンの離反を招く結果となるのか。今後の展開が注目される。(出典:MSN, Indy100他)

最近のお知らせお知らせ一覧