
地図と指紋が融合する新ブランド──ナチュラル・ハビタットの再定義
環境教育を目的とする慈善団体Natural Habitatは、クリエイティブエージェンシーWMH&Iとともに、新たなブランド・アイデンティティを導入した。従来、同団体はその活動目的を十分に伝えきれず、結果としてエンゲージメントや資金調達に課題を抱えていた。
今回の刷新は、「人は関心を持たないものを守ろうとはしない」という思想に着想を得て、人間と自然環境の関係性をより直感的に伝えることを目指したものである。
指紋と地形を重ねたロゴが示す思想
新ロゴの中核には、人間の象徴である指紋と、地図に見られる地形の等高線を融合させたビジュアルが据えられている。各拠点ごとに異なる地形を反映したデザインが採用されており、地域ごとの自然環境と人との関係性を可視化する仕組みとなっている。
この造形は、「土地と人々をつなぐ」というブランドの新たな目的を象徴するものであり、単なる視覚表現にとどまらず、思想そのものを体現する役割を担っている。

社会実装されるブランドデザイン
このブランド刷新は、見た目の更新にとどまらず、具体的な社会的機能へと展開されている点に特徴がある。ロゴやビジュアル要素は、ミツバチの巣箱や野生生物の生息地、学習用トレイル、さらには市民の行動を促すツールとしても活用される設計となっている。
また、地形から着想を得た柔軟なグリッドシステムが導入され、物理空間とデジタルの双方において一貫したストーリーテリングを可能にしている。これにより、ブランドはコミュニケーションの枠組みそのものとして機能する。
温かみと季節感で構築する視覚言語
タイポグラフィには「Bricolage」が採用され、親しみやすさと温かみを演出している。カラーパレットは四季の変化を反映し、春の緑、夏の花々、秋の赤褐色、冬の澄んだ色調といった自然由来の色彩で構成される。これにより、従来の環境系ブランドに多い控えめなトーンとは異なる、豊かでダイナミックな印象を確立している。
エンゲージメント向上と組織変革への手応え
この新しいアイデンティティは、組織にとって感情的な明確さをもたらしたとされる。従来の「慈善団体」という枠を超え、人々が直感的に理解し、関わりたくなる「生態系」としてのブランドへと進化したという評価である。
実際に、ソフトローンチ以降はエンゲージメントの向上や資金調達の改善といった成果が見られており、今後はさらなる活動拡大とパートナーシップ強化が見込まれている。
今回のリブランディングは、視覚表現と社会的機能、そして組織の目的を一体化させた事例であり、ブランドが単なる認知装置ではなく、行動を促すプラットフォームとして機能し得ることを示している。(出典:CREATIVE BLOQ、画像:Natural Habitat)

















