アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ、インナーラインが牽引し第3四半期は堅調

アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ(AEO)は、第3四半期(11月1日終了)に売上と客数の両面で改善を示した。特にインナーウェアブランド「Aerie(エアリー)」が好調で、既存店売上高は前年同期比11%増となり、アスレジャー系「Offline(オフライン)」などが業績を押し上げた。一方、主力のアメリカンイーグルは1%増と小幅にとどまったが、前四半期の3%減からは反転した形である。
もっとも、アメリカンイーグルがここ数カ月間に多数の大型キャンペーンを展開してきたことを踏まえ、アナリストからは両ブランドの成長速度の違いについて詳しい説明を求める声も出た。

マーケティング投資は「ハロー効果」を生むと経営陣

AEOでアメリカンイーグルおよびAerieを統括するジェニファー・フォイル社長兼エグゼクティブクリエイティブディレクターは、ブランドの競争力維持には製品強化とマーケティングの両輪が不可欠であると説明した。また、マーケティング活動は両ブランドにポジティブな波及効果を生むとし、それが顧客基盤拡大にもつながっていると述べた。
ジェイ・ショットンスタインCEOも、ここ数カ月でアメリカンイーグルのロイヤルティ会員が100万人以上増えたことを紹介した。また、俳優シドニー・スウィーニーを起用したデニムキャンペーンでは、一部商品が短期間で完売するほど反響があったとしている。
同社はスウィーニーのほか、NFL選手トラビス・ケルスやマーサ・スチュワートら著名人との取り組みを強化し、文化的存在感の拡大とデニム市場における競争力向上を狙っている。

メンズは好調、ウィメンズは分野により明暗

第3四半期のアメリカンイーグルでは、メンズカテゴリーが伸びた。特にケルスのブランド「True Colors」との協業が、新学期シーズンの需要を捉えた形で効果を発揮した。一方、ウィメンズはデニムが堅調だったものの、それ以外のボトムスやトップス、ドレス類はやや伸び悩んだ。
フォイル氏は、四半期前半は期待を上回る需要があり、一部人気商品の品切れが発生したと説明している。

大型キャンペーンは議論も呼ぶが、集客効果は高水準

スウィーニーを起用したキャンペーンは同社として過去最大規模であり、メッセージの解釈をめぐり議論も生んだ。しかし経営陣は、あくまでデニムの価値訴求に焦点を当てたクリエイティブであり、ブランド刷新の中心に位置づけていると強調している。
このキャンペーンやケルスとの施策は合計で440億インプレッションを生み、デジタルチャネル全体で新規顧客獲得にも寄与した。マーサ・スチュワートとの取り組みは11月下旬にスタートし、ホリデーシーズン戦略の一部として展開されている。
フォイル氏は、四半期で顧客数が増加しロイヤルティも4%上昇したと述べ、ブランド認知と魅力の成長が進んでいるとの見方を示した。

親会社としても過去最高売上、ホリデーで真価が問われる

AEO全体では、第3四半期の売上高が6%増の14億ドルと過去最高となり、第4四半期の見通しも上方修正した。ホリデー商戦では、大胆なマーケティング戦略が消費者の慎重な支出姿勢を乗り越えられるかが試される。
フォイル氏は、今回のマーケティング戦略はまだ序盤であり、適切な人材起用がブランド力を継続的に押し上げると説明した。そのうえで、2026年以降もブランドの勢いを強めていく考えを示した。(出典:MARKETING DIVE、画像:アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ)

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