
ドミノ・ピザ、10年以上ぶりのブランド刷新を発表
ドミノ・ピザは本日、2012年以来となる大規模なリブランディングを発表した。今回の刷新では、ブランドの象徴である赤と青のカラーを、炎の中心を思わせるようなより鮮やかでエネルギッシュなトーンへとアップデート。さらに、オリジナルのカスタム書体「Domino’s Sans」と、新しいジングルを導入し、ブランド全体の印象を一新した。
進化するブランドデザイン
新しいビジュアルでは、長年親しまれてきたドミノの赤と青をそのままに、より高い彩度とシャープな印象を持たせている。ピザボックスも刷新され、デザインはより明快でモダンになった。
特に「ハンドメイド・パン」や「パルメザン・スタッフド・クラスト」用のパッケージは、黒地にメタリックゴールドのアクセントが加えられ、高級感とクラフトマンシップを強調している。
また、音楽面では、グラミー賞ノミネート経験を持つカントリーアーティスト Shaboozey(シャブージー) による新しいジングルが採用された。ブランドの現代性を音でも表現し、若年層への訴求を狙う。
市場を見据えた戦略的リブランド
ドミノのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼グローバルCMOである ケイト・トランブル 氏によると、今回の刷新は単なるデザイン変更ではなく、持続的なブランド成長のための「再定義」であるという。
同社は過去10年間、クイックサービス・ピザ市場において毎年1%ずつシェアを拡大しており、その勢いを保ちつつ、次世代の顧客に向けた新たなブランド価値を構築する狙いがある。「65年の歴史を持つブランドとして、私たちは常に“今”と“未来”の顧客に対して、モダンで大胆であり続けなければならない」とトランブル氏は語る。
「変化のための変化」ではないリニューアル
トランブル氏はまた、リブランドに伴うリスクも認識しているという。近年、ジャガーやクラッカー・バレルなど世界的ブランドが新ロゴ導入後に批判を受けたことは記憶に新しい。
しかしドミノは、消費者調査に加え、フランチャイズ加盟店の意見も丁寧に取り入れるなど、入念な準備を重ねてきた。「私たちはブランドの核であるロゴを守りつつ、色やフォントを再構成することで、消費者に愛され続ける“アイコニックな現代性”を実現しました」とトランブル氏は述べている。
デザイン哲学:「ミューズは常にピザ」
ブランド刷新を手がけたのは、広告代理店 WorkInProgress の共同設立者でチーフ・クリエイティブ・オフィサーである マット・タルボット 氏。約2年に及ぶプロジェクトの中で、全てのデザイン判断の基軸となったのは「ピザそのもの」だったという。「私たちのミューズは常にピザです。新しい赤と青には、1970〜80年代のクラシックなドミノカラーへのオマージュを込めています」とタルボット氏は説明する。
グローバル展開と初期評価
リニューアルされたブランド要素は、まずアメリカと一部海外市場で導入され、2026年にかけて順次世界各国へ展開される予定だ。ドミノはすでに内部テストを行い、消費者の約67%が新デザインを「好印象」と評価しているという。
ドミノ社内では、ブランドチームのメンバーが自らを「ドミノイド(Dominoid)」と呼ぶほどの情熱を持って取り組んでおり、その熱意がファンコミュニティにも波及している。「私たちは自分たちを“世界一のピザオタク”だと思っている。時に変わり者に見えるかもしれないが、それは本物の情熱の証なんです」とタルボット氏は語る。
クラシック×モダンのバランスで次世代へ
今回のリブランディングは、ドミノが築いてきた伝統を守りながらも、デザインと体験の両面で現代化を果たした象徴的な一歩である。
ブランドの核にある「手作りの温かさ」「親しみやすさ」はそのままに、次世代のデジタルネイティブに向けた洗練されたアイデンティティが確立された。65年の歴史を持つピザブランドは、今再び、焼きたてのような新鮮さで未来に向かっている。(出典:Domino Pizza, Adweek)