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【Cannes Lions 2025】細分化された時代でもブランドは構築できる:マクドナルドの戦略

現代のメディア環境では、消費者が注目する場所は分散しており、かつてのように一つの大きなプラットフォームに頼ることが難しくなっている。しかし、そうした中でもブランドの構築は可能であり、特に細分化されたメディア環境においては、個別のアプローチが成功の鍵となる。

メディアの変化とブランド戦略の必要性

テレビはかつて、ブランド構築において重要な役割を果たしていたが、現在ではメディアが消費者のニッチな関心に対応するようになり、従来の方法では十分に対応できなくなっている。アナリティクス・パートナーズのカイト副社長は、「16歳から34歳のテレビ広告のインプレッションは、過去10年間で70%減少した」と説明し、テレビの影響力が低下していることを指摘している。その結果、テレビ広告の効果が減少し、YouTubeや有料ソーシャルメディアの方が効率的にリターンを得やすくなっている。

「たくさんの小さな露出」が重要

しかし、複雑に分割されたメディア環境でも、少しずつ積み重ねられる多くの小さな露出が、ブランドの構築には依然として有効であると、HavasとLumenの昨年末の調査が示している。また、Metaの研究によれば、こうした小さな瞬間の積み重ねが売上を21%向上させるというデータもある。複数のチャネルを活用することで、ブランド効果を2倍に増加させることが可能であり、シナジー効果を活用することが、ブランド構築と売上の向上に繋がると考えられている。

ブランド構築における一貫性と新しさ

従来、ブランド構築は「一貫性」「繰り返し」といった要素に依存していたが、データと効果的なマーケティングの専門家によるアプローチでは、新鮮さと多様性が重要であるという見解も強まっている。Jellyfishのブランド戦略担当副社長トム・ローチは、「一貫性、繰り返し、独自性という古典的なアプローチと、複数の選択肢を提供するというプラットフォームに依存した新たなアプローチの調和が求められている」と語り、ブランド戦略の未来は進化し続けていることを強調している。

マクドナルドの戦略:ファンと共にブランドを築く

ブランドの構築において、マクドナルドはファン中心主義を取り入れたユニークなアプローチを採用している。米国マーケティング担当副社長ジェニファー・ヒーラン氏は、ファンが抱く小さな真実や共感に基づくエピソードをブランド体験に活かす方法を強調した。「ファンからのフィードバックを反映させることが、ブランドをより人間的にし、リラックスしたトーンを作り出すための鍵である」とヒーラン氏は語っている。例えば、アニメ映画内でマクドナルドを利用するシーンが作られ、その結果として新しいクリエイティブ・プラットフォームが発展した。このように、マクドナルドはファンとの共創を重要視し、ブランドをより身近に感じさせる。

ブランドパフォーマンスとビジネスの推進

ヒーラン氏は、ブランドのパフォーマンスを推進するためには、すべての作品やキャンペーンがビジネスを支えることを意識して行うべきだと語っている。マクドナルドは、消費者との深い結びつきや、キャンペーンの効果的な実施において一貫した成果を挙げており、その結果がブランドのロイヤルティを育てている。

細分化されたメディア環境でもブランドは依然として成功を収めることができ、重要なのは一貫性と新しさ、そしてファンとの密接なつながりである。マクドナルドのように、ブランドは消費者との対話を深め、共感を呼び起こすことが求められている。また、デジタルメディアを活用したマーケティング戦略の進化により、ブランドの力はますます広がりを見せており、今後も多くの小さな露出の積み重ねが、ブランドの成功に寄与するだろう。。(出典:WARC、The Cannes Lions 2025 Festival of Creativity)

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