
電気自動車のアイデンティティ・クライシス:トヨタ、VW、メルセデスがEVのブランド名を変更した理由
「名前には何があるのか?」とシェイクスピアは問うたが、車のバッジにおいては、その意味が非常に大きい。多くの自動車メーカーが、バッテリー電気自動車(EV)のネーミングを見直し始めたのは、まさにそのためだ。
フォルクスワーゲンは、増え続けるEVのラインナップに使われている「ID」バッジを廃止すると発表した。また、メルセデス・ベンツは、ほとんど意味のない「EQ」という英数字の命名法を終了させ、トヨタも新しいEVが市場に登場する際、「bZ」バッジから離れる準備が整っていると報じられている。
S&P Global Mobilityの主席自動車アナリストであるステファニー・ブリンリー氏は、「当初、これらの名称はEVを他のラインナップと区別するために使われていましたが、紙面上では良いように思えた」と述べている。
フォルクスワーゲン、「ID」ネームプレートを廃止へ
フォルクスワーゲンは、業界史上最も高価なEV開発プログラムの一つを立ち上げ、オール・エレクトリック製品を区別するために「ID」という命名法を採用してきた。IDという名称は、車両のサイズクラスを示す数字が続く形で、ミッドレンジのID.4から始まり、ID.3クロスオーバー、ID.5、ID.7セダンなどが登場してきた。
しかし、ID.Buzzマイクロバンの発表に伴い、その戦略から脱却し始めた。フォルクスワーゲンのマーケティング・販売責任者であるマーティン・サンダー氏は、「今後、ドイツブランドのEVは『再び適切な名前を得ることになる』」と語り、EVのネーミングが変わることを示唆している。既に、マイクロバンは「バズ」と呼ばれることもあり、この新しいアプローチは、ID.2allコンセプトカーの市販バージョン発表とともに正式に登場する予定だ。
トヨタの「bZ」バッジが消えそう
トヨタは数年前、初の現代的なEVを発売した際、電気クロスオーバーに「bZ4X」というバッジを付けた。しかし、その販売台数が予想を下回った主な理由は、バッジ自体がその原因ではないにしても、その影響がなかったわけではないと、トヨタのマーケティング責任者であるマイク・トリップは認めている。
今後、新たに登場するEVについては、「bZ」というバッジから離れる可能性が高い。これらの変更は、EV市場におけるブランド認知を再構築し、消費者に新しい価値を伝えるための重要な一歩となるだろう。(出典:autoblog, volkswagen他)