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ユニバーサル・ミュージック、ライブ観光トレンドに乗せた新ホテルブランド「Umusic Hotels」を展開

(写真:UMusic Hotels)ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)は、新たなホテルブランド「Umusic Hotels」を通じて、エンターテインメント、ホテル、地域の音楽遺産を融合した「文化的ハブ」を構築し、音楽中心の観光需要を取り込む戦略を打ち出している。宿泊料金は1泊400ドルにも及ぶが、これにより、ライブ・ツーリズムが加速する中、ブランドが新たな収益機会を確保できると判断している。

ブランド構築と展開状況

Umusic HotelsはUMGとダキア・エンターテインメント・ホスピタリティ・グループが立ち上げたライブ・パフォーマンス特化型ホテルブランドで、ヨーロッパ、米国、ラテンアメリカなどの市場への拡大を目指している。ジョルディ・ソレ氏(同ブランド社長)によれば、将来的に世界中で200軒のホテル展開も視野に入るという。

最初の施設はスペイン・マドリードにある「Umusic Hotels Teatro Albéniz」で、同ホテルは2023年9月から営業を開始。歴史的な劇場を再生・併設したことで、ライブミュージックや演劇公演が可能となり、地元の文化的中心地として機能する。また、アリーナやスタジアム、ナイトクラブなどの会場併設も計画しており、今後のプロジェクトではライブエンターテインメントを必須要素とする考えだ。

ライブ・ツーリズムへの対応と特徴的サービス

「12 Days of OpenAI」で話題となる「ライブ・ツーリズム」のトレンドに沿う形で、Umusic Hotelsは音楽をホテル体験の中心に据えている。マドリードのホテルでは、客室にBluetooth対応スピーカー、レコード・ライブラリー、屋上バー、さらには地元コミュニティとの交流や新進アーティストの支援にも取り組み、音楽を単なる装飾ではなく、滞在者の「体験の核」と位置付けている。

このホテルは著名アーティストによるコンサートやアルバム発表会などを開催し、現地の学校や団体とのパートナーシップを通じて地域文化を育む拠点を目指す。夏にはユニバーサル・ミュージック・フェスティバルも開催される予定で、地元客にもホテル内のレストランやバーを利用させ、相互の価値創出を図っている。

投資家への魅力と地域開発

Umusic Hotelsは、投資家や開発者に対して、客室や飲食収益だけでなく、エンターテインメントから生まれる追加価値を提案している。マドリードでの事例では、不動産投資信託シリシウスが所有するホテルで賃料収入が増加。ほかにも、コロンビアのバランキージャなどでエンターテインメント地区「アレーナ・デル・リオ」と組み合わせる形での新規展開も視野に入れている。

販売戦略とブランド認知

運営初期はブランド認知度が低いため、直販力が重視される。Umusic Hotelsは、UMGが保有する7000人のアーティスト、70のレーベル、そして莫大なファンデータベースを活用し、「直販」を強化する考えだ。ホテルは現在、70%の稼働率で1泊平均400ユーロ(約420ドル)で運営されている。

潜在的な批判への対応

一部からは、「本物の音楽ファン」ではなく裕福な旅行者をターゲットにした高額な設定だとの批判も考えられる。Umusicとしては、地元コミュニティとの連携や新進アーティストの育成など、「コミュニティ参加」と「新たな才能支援」というブランド約束に忠実であることが重要となる。また、歴史的劇場の復活や地元音楽地区の活性化は、文化的価値の創出を通じて批判を払拭することが求められる。

将来への展望

著名アーティストとの親和性を活かし、ファン体験を強化することがUmusic Hotelsの狙いで、テイラー・スウィフトやドレイクなど、UMG所属アーティストの公演時に多くのファンを取り込む計画がある。マドリードで成功モデルを確立すれば、歴史的建造物の再生やエンタメ要素の統合を他の地域でも展開できる。

Umusic Hotelsは、ヨーロッパ各地で複数の案件を検討しており、それらはマドリードで行った事例と似たような要素を持つ。こうした取り組みを通じ、音楽と観光、地域文化が融合した全く新しいホテルブランドとして地位を確立しようとしている。(出典:Swift)

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