
KFC、日本で「第二創業」へ—ブランド刷新と新タグラインの導入
外食チェーンの日本ケンタッキー・フライド・チキンは2026年3月、大規模なブランドリニューアルを発表した。同社はこの取り組みを「第二創業」と位置づけ、1970年の日本進出以来築いてきたブランドを次の成長段階へ引き上げる転換点とする考えである。
新たなブランドメッセージとして掲げられたのが「しあわせに、ガブッ。」というタグラインである。これに合わせ、ブランドアンバサダーにはタレントの佐藤栞里を起用し、同日から新テレビCMの放映も開始された。
KFCは2025年に日本上陸55周年を迎えた。しかし外食市場を取り巻く環境は、生活スタイルや消費者の価値観の変化によって大きく様変わりしている。同社は長年の看板商品である「オリジナルチキン」の価値を守りながら、ブランド全体の魅力を再定義する必要があると判断し、今回の刷新に踏み切った。
新タグラインには、チキンにかぶりついた瞬間に訪れる満足感や高揚感を通じて、日常にささやかな幸せを届けたいという思いが込められている。味覚だけでなく、香りや食感、店舗空間やサービスまで含めた五感の体験を重視し、いつ訪れても新鮮な楽しさを感じられるブランド像を打ち出す考えである。
新CMで描く「日常の小さなしあわせ」
ブランド刷新に合わせて公開された新テレビCM「しあわせの天才」篇では、日常生活の中に潜むささやかな幸福感をテーマとしている。主人公がチキンを頬張る一瞬をきっかけに、気持ちが前向きに変化していく様子を描き、タグライン「しあわせに、ガブッ。」が示すブランドの世界観を表現している。
同社は今回のコミュニケーションを通じて、KFCを単なる外食チェーンではなく、日常生活の中で気軽に楽しめる「小さな幸せのきっかけ」を提供するブランドとして再位置づけようとしている。

成長を支える三つの戦略
今回の「第二創業」を実現するため、KFCは三つの重点戦略を掲げている。第一はメニューの拡充である。チキン商品のバリエーションを広げるとともに、バーガーのラインアップを強化し、さらにドリンクやサイドメニューも拡充する。モーニングやスナックなど、従来よりも幅広い時間帯での利用を促す商品展開も視野に入れている。
第二の柱は店舗体験の進化である。2030年までに全国1700店舗体制の構築を目標とし、新たな店舗モデルの導入を進める。2026年4月には、神奈川県相模原市に次世代型店舗の第1号店を開業する予定である。この店舗ではグローバルデザインを採用し、ブランドの世界観を体感できる空間づくりを行うとともに、新メニューや新しいオペレーションを検証する拠点としての役割も担う。
第三の戦略はデジタル化の推進である。KFCは公式アプリをビジネスの中核と位置づけ、購買履歴やライフスタイルデータを活用した顧客理解を深める方針だ。AIを活用して利用者ごとに最適化された情報やオファーを提供し、よりパーソナライズされたコミュニケーションを実現する。
またロイヤリティプログラムも見直され、継続的に購入する顧客が特典を維持できる仕組みに改良される予定である。こうしたデジタル施策を通じて、顧客との長期的な関係構築を図る狙いだ。
今回のブランド刷新は、55年以上続いてきた日本のKFCの歴史を土台に、新しい成長モデルを築こうとする試みである。メニュー、店舗、デジタルの三領域を同時に強化することで、日常生活に寄り添う外食ブランドとしての存在感をさらに高めていく方針である。(出典:Adver Times、画像:ケンタッキーフライドチキン)
















