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いたずらか、親切か? コカ・コーラ、AIで進化させたホリデーキャンペーンを展開

コカ・コーラが、人工知能(AI)を活用した新たなホリデーシーズンのグローバルキャンペーン「Refresh Your Holidays」を発表した。2025年11月3日にスタートしたこの施策は、既存の人気広告「Holidays Are Coming」をAIで再構築した“リフレッシュ版”を中心に、体験型アクティベーションや新作映像を組み合わせた大規模なブランド展開となっている。

AIが再構築する、コカ・コーラとクリスマスの物語

新たな60秒広告では、サンタクロースがコカ・コーラのボトルを開けるシーンから始まり、トラックのライトが冬の街を照らすと、ホッキョクグマやペンギン、子犬、ウサギといったキャラクターたちがその光景に目を向ける。コカ・コーラの象徴的なホリデートラックが走り抜ける演出はそのままに、AI技術による映像最適化でよりリアルな光や表情の変化が加えられた。
この映像は、昨年に初公開されたオリジナル版が物議を醸したことを踏まえて制作されたものだ。当時、一部の視聴者からはAI生成映像の活用に対して賛否両論があったが、コカ・コーラは「品質面・表現面の両方で、自社の基準と業界標準を満たすクリエイティブである」と強調している。
コカ・コーラのマーケティングとクリスマスの関係は長い。サンタクロースの赤い服を定着させたとされるほど、同社の広告は世界のクリスマス文化に影響を与えてきた。そのため、AIを活用した今回の試みは単なる技術実験ではなく、ブランドが長年築いてきた「温かさと人のつながり」という価値を新しい形で再定義する挑戦といえる。
グローバル・バイスプレジデント(クリエイティブ戦略・コンテンツ担当)のイスラム・エルデッソキー氏はこう語る。
「昨年のキャンペーンを基盤に、今年の進化は人々の気分を高揚させ、心のつながりを生み出す瞬間を創出するという私たちの理念を体現しています」

「思い出」をテーマにした新作広告とマルチチャネル展開

「Refresh Your Holidays」キャンペーンには、もうひとつの新作映像「A Holiday Memory」も含まれる。30秒のショートフィルムでは、女性が部屋の飾り付けをしながら古いスノードームを見つけ、それをきっかけに“Feliz Navidad”の音楽が流れる温かなクリスマスの記憶を思い出すという内容だ。

 

この映像は北米、ラテンアメリカ、アジア太平洋地域で展開され、異なる文化圏でも共感を呼ぶ“ノスタルジアと再会”の感情を軸に構成されている。AIの活用は裏方にとどまり、映像の構図や色調、ストーリーテリングに一貫した感情設計がなされている点が特徴である。
さらに、屋外広告やデジタルメディア、ソーシャルメディア、店頭ディスプレイ、製品パッケージまで連動させた統合的なキャンペーンを展開。開発にはVMLが主導し、EssenceMediacom、Ogilvy、Bursonなどを含むWPP Open Xネットワークがクリエイティブパートナーとして参加している。

デジタル変革とブランド哲学の融合

厳しいマクロ経済環境の中でも、コカ・コーラの2025年第3四半期決算は純収入125億ドル(前年同期比5%増)を記録。デジタル戦略への投資が奏功している。
ジェームズ・クインシーCEOは決算説明会で次のように述べた。
「私たちのマーケティング変革は、デジタルエンゲージメントやパーソナライズされた体験、そして文化的な関連性を通じて、消費者とより深くつながることを目的としています」
AIを活用した今回のホリデーキャンペーンは、その象徴的な成果といえる。人間の温かさとテクノロジーの融合という、コカ・コーラが長年大切にしてきたブランド哲学を、次の世代に向けて再定義した試みなのである。(出典:MARKETING DIVE、画像:コカ・コーラ)

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