
ワイルドターキーの新キャンペーンと伝統の強調
カンパリ・グループのウイスキー&ラム部門グローバルマネージングディレクターであるラウル・ゴンザレス氏は、「ワイルドターキーが今日世界中で愛され、尊敬を集めている理由のひとつは、ブランドが揺るぎない姿勢を貫いてきたからだ」と述べている。同氏はさらに、「ワイルドターキーのバーボンを注文することに誇りを持つ消費者は多く、この新キャンペーンを通じてジミー・ラッセルとブランドの物語を新しい世代へ伝えられることに大きな期待を寄せている」と語った。
業界の逆風とブランドの対応
アメリカのウイスキー業界、特にバーボンは近年逆風にさらされている。昨年は関税や過剰在庫の影響により、バーボン輸出が落ち込み、売上高は1.8%減少した。この市場環境は海外需要に直接的な打撃を与え、ブランド各社は消費者へのリーチ手段を再考せざるを得なくなっている。
そうした混乱の中で、多くのブランドは独自の差別化戦略を模索している。例えば、サントリー傘下のジムビームは「手頃な価格の高級ブランド」としてのポジションを強調し、従来の製品ラインに加えてパイナップル風味などの新しいフレーバーを導入している。この動きは、若年層や新しい嗜好を持つ消費者層の取り込みを狙ったものであり、同時に伝統的なブランドイメージとのバランスを意識した試みである。
教訓と今後の展望
ワイルドターキーが今回のキャンペーンで示すように、「伝統を守りながら新しい世代に語りかける」戦略は、変化の激しい市場でブランドを強固にする可能性を秘めている。一方で、ジムビームのように革新性を前面に出す動きも見られ、バーボン業界は「守るべき遺産」と「進化するニーズ」の間で揺れている状況である。(出典:MARKETING DIVE、画像:Wild Turkey、iStock)