
バーバリーのリブランディングに対する元デザイナーの批判
バーバリーが5年足らずで再度ロゴを変更したことについて、グラフィックデザイナーのピーター・サヴィルは「完全に無責任な行為だ」と批判している。サヴィルは2018年、当時のチーフクリエイティブオフィサーであったリカルド・ティシの依頼で、バーバリーの新しいグラフィックアイデンティティをデザインした。しかし、2022年にダニエル・リーが新たに就任した後、このブランディングは急速に置き換えられた。
ブランドの継続性と批判
サヴィルは、バーバリーのような規模の企業がブランドの継続性を放棄することは賢明ではないと強調した。特に、彼がデザインしたロゴが十分に展開される前に新たなロゴが導入されたことについて、「ブランドは一貫性を欠いており、それは無責任な行為である」と指摘している。バーバリーのロゴの変更は、同ブランドのアイコンである「跳躍する猫」のバッジを取り除き、代わりにプレーンなワードマークに置き換えたことが大きな批判を浴びた。
ピーター・サヴィルはリカルド・ティッシとコラボレートし、新しいバーバリーのロゴとモノグラムをデザインした。
ブランドアイデンティティの重要性
サヴィルは、ブランドアイデンティティがどれだけ重要であるかを繰り返し強調しており、特に大規模な企業にとっては、消費者や市場に対する信頼を構築するために一貫したブランドの維持が必要不可欠だと述べている。「どのレベルの重みにおいても、ブランドアイデンティティは真剣に扱われるべきであり、ブランドが提供する価値やメッセージは、オーディエンスにも真剣に受け取られるべきだ」と語る彼の言葉には、ブランド戦略の重要性が反映されている。
新しいロゴと「継続性の価値」
サヴィルは、シャネルやエルメスのような世界的なブランドを例に挙げ、長年にわたってそのロゴが変わらず、一貫した価値を提供していることを称賛している。「ヴェルテハイマー家以外、誰もシャネルの文字に近づくことは許されない」と言うように、これらのブランドは、常にその価値と伝統を守り続けている。サヴィルは、ブランドが時代の変化に対応するために「無理に変化を強いる必要はなく、むしろその変化に気づかないようにするべきだ」と述べている。
バーバリーの最新リブランディングの評価
2023年に発表された新しいバーバリーのロゴは、サヴィルがデザインしたものとは異なり、セリフフォントを使用したものに戻された。サヴィルはこれを一部好意的に受け止めながらも、その変更のタイミングに疑問を呈している。「バーバリーの新しいロゴは非常に素晴らしいが、それが以前のロゴからあまりにも急激に変更された点には疑問が残る」と評価している。
サヴィルはまた、ブランドにとってはそのアイデンティティに対する誠実さと持続性が重要であり、短期間での変更や乱暴なアプローチは、ブランドの信頼性を損なう危険があると警告している。
バーバリーは2023年、「アーカイブにインスパイアされた」新しいエクエストリアン・ナイトのロゴを発表した。
文化的な価値とラグジュアリーブランドの未来
一方、サヴィルは近年、ファッション業界の新たなトレンドとして文化的価値を重視するブランドが増えていることに触れ、特に自らの文化的背景を反映させたブランド体験が重要になっていると述べている。これにより、ブランドはただ商品を提供するだけでなく、消費者に深い意味や価値を提供することが求められる時代になってきている。サヴィルのデザイン哲学は、こうした価値観の重要性を強調しており、ブランドが長期的に成功を収めるためには、消費者との強い絆を築くことが不可欠であると締めくくった。
バーバリーのブランド戦略における急激な変更とその影響について、サヴィルは一貫性と継続性の重要性を再認識させる指摘を行った。ブランドの価値を長期的に維持するためには、急激な変更ではなく、消費者との信頼を築き上げることが最も重要であると彼は強調している。(出典:dezeen)