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【Cannes Lions 2025】P&G、「一貫した粘り強い」広告を支持

P&Gは、一貫性があり持続可能な広告がブランドの成長には不可欠であると考えている。P&Gのチーフ・グロース&マーケティング・オフィサーであるマーク・プリチャードは、広告がどのように消費者の記憶に残り、ブランドの優位性を築くかについて強調した。

「一貫性のある広告は、脳全体の記憶を構築し、思い出させ、呼び起こすのに役立つ。ロケット科学ではないが、これは脳科学である」とプリチャードは語り、ブランドの長期的な認知度向上には一貫した広告が重要であることを示した。

ブランドの一貫性の重要性

ブランドの成長は時間をかけて築かれるものであり、ポジショニングや戦略を短期的に何度も変更するのではなく、永続的な原則を活用すべきであるとプリチャードは述べた。ブランドは消費者の「心に残る」存在であることが求められ、広告戦略の一貫性がその成功に繋がる。

メンタル・アベイラビリティの構築

P&Gが強調するのは、ブランドが購買の場面で消費者の頭にすぐ浮かぶような「メンタル・アベイラビリティ」と、実際に見つけやすく、買いやすいという「物理的・アベイラビリティ」の両方の要素が必要だということだ。特に、記憶を通じて構築されるメンタル・アベイラビリティは、広告が果たす重要な役割であるとされる。具体的には、重要な情報をエンコードするために10秒から30秒の注意が必要だとプリチャードは語り、その記憶は短い広告フォーマットでも強化できることを示した。

長期的なプラットフォームが利益を生む

プリチャードは、インサイト主導で記憶に残る長期的なブランドキャンペーンが成功の鍵であると述べた。これらのキャンペーンは、ブランドの「利益、差別化のポイント、認知可能な資産」を一貫して表現し、長期間にわたってブランドの成長を支える役割を果たす。例えば、P&Gの「Head & Shoulders」ブランドは、軽快でユーモアを交えた「I Don’t」プラットフォームを通じて、シャンプーを使用する消費者に「フケを防ぐ」というブランドの特徴を伝え続けている。

「広告の飽き」は誤解である

P&Gの長期にわたる「Head & Shoulders」プラットフォームは、広告が消費者に飽きられるという一般的な誤解を打破している。プリチャードは、「消費者は広告に飽きる前に、我々が広告に飽きてしまう」と述べ、ブランドの一貫性と繰り返しが広告の効果を高め、記憶を強化することを強調した。広告が消費者の記憶に定着するためには、繰り返しが重要であり、そのためにはブランドに対する規律を持って一貫性を保つ必要がある。

ブランドの重要性と将来の課題

プリチャードは、現在進行中のテクノロジーとメディアの変化が、ブランドの存続可能性に疑問を投げかけていることを指摘した。しかし、彼は依然としてブランドが最も信頼されている存在であり、消費者にとっては「信頼」を基盤にしたブランドこそが成功すると語った。P&Gにとって、優れた性能、価値、信頼性を提供する製品の開発と、顧客のニーズを真に満たすことがブランド成功の鍵であると述べている。

クラフトとコンテンツの融合

プリチャードは、広告の成功には「コンテンツ」だけでなく、広告が持つ感情的なインパクトと説得力を最大化することが重要だと述べている。広告における「クラフト」の重要性を強調し、広告がただのメッセージに留まらず、感情的なインパクトを与えるものであるべきだと指摘した。広告における創造性や工夫は、広告の効果を高め、消費者に強く印象づけるために不可欠である。

人間性とテクノロジーのバランス

さらに、プリチャードは、広告作成においてテクノロジーが果たす役割についても言及したが、テクノロジーだけでは十分でないと強調している。「ブランド構築の中心にあるのは人間性であり、テクノロジーはその補助的な役割を果たす」と語り、広告が消費者との感情的なつながりを築くためには、人間の視点が欠かせないことを示唆した。

P&Gが提唱する「一貫性のある持続的な広告」戦略は、ブランドの成功に不可欠な要素である。ブランドが時の試練に耐え、長期的に消費者との信頼関係を築くためには、一貫性のあるメッセージの反復が重要であり、さらに感情的なインパクトや説得力を持たせることが求められる。また、テクノロジーの活用と同時に、人間性を重視したアプローチがブランドの成長を支えることになるだろう。(出典:WARC、The Cannes Lions 2025 Festival of Creativity)

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